痩せ型のロン毛
 山間に佇むTの自宅は限界集落の一角にあり、人が住む隣家までは数百メートル離れている。昼間訪れると雄大な自然を前に心が和むが、夜になれば一帯は闇と静寂が支配する。24歳のTは1年半あまり、この家に一人で暮らし、車で40分ほど離れた隣町のホームセンターに勤務していた。正社員で給与は月25万円くらい。同僚によれば、多少遅刻があった程度で、勤務態度は決して悪くなかったという。

「背丈は170センチくらい。痩せた体型で、髪は肩くらいまで伸ばしていました。山口県のどこかから移住してきたと話していましたが、進んで自分の話をするタイプではなかったので、記憶に残っている話はありません。決して暗くはないんですが、友達がいなさそうなタイプだと思います。休みはいつも家で寝ていると話していました」

 4月半ばに阿武町の職員二人が店まで訪ねてきた後、変化が見受けられたという。

「急にイライラした様子を見せるようになった。20日になって店長に『阿武町の誤振込の件は自分だ。店に迷惑をかけるので辞めます』と打ち明けたと聞いています」(同)