※2022/05/17 08:00AERA dot.

筋トレブームと言われる昨今、“筋肉の素”となるプロテイン市場が熱い。ただ、効果的な飲み方や、そもそも飲む必要があるのかについて知識不足の人も多く、一歩間違えば肥満など逆効果となる恐れもある。どんな摂取方法が適切なのか。筋肉とタンパク質の関係に詳しい専門家に聞いた。
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 コロナ太り解消でトレーニングを始めた人が増えたこともあり、プロテイン市場が絶好調だ。ドラッグストアや量販店にはプロテイン商品を並べたコーナーがつくられ、お菓子やドリンクなどもタンパク質の量を強化した商品が登場している。
 民間調査会社の「富士経済」によると、2020年の国内の粉末プロテイン市場は817億円で前年比16・4パーセント増。21年は前年比13・8パーセント増の930億円(見込み)と2ケタ成長が続く。26年には1500億円に達すると予測している。
 また、コンビニなどでもおなじみとなった、タンパク質を強化した菓子や飲料などの「たんぱく補給食品」の市場は、11年の558億円から21年は2216億円(見込み)にまで拡大。ブームはやむ気配がない。
 ただ、心配なのはその摂取の仕方だ。
 とあるスポーツジムをのぞくと、全身の筋トレ後、シェイカーにたっぷりと粉末を入れ飲み干す若い男性の姿が。自転車型トレーニング器具を30分ほどこいで軽い負荷の筋トレを少しこなした後、15グラムのタンパク質が入った市販の飲料を飲んでいた中高年の男性もいた。
「身体が細いからもっと筋肉をつけたい」「年を取ると筋肉が減るから補強したい」などジムに通う理由はさまざまだが、本当にそのプロテインは適量なのだろうか。
「がんばって取り組んだトレーニングの効果を少しも無駄にしたくないと、プロテインをたくさん飲みたくなる気持ちはよくわかります。精神的には安心しますよね。ただ、私の授業を受けている学生にもいますが、知識不足のまま、むだに多くプロテインを飲んでしまっている方が多いのは事実です」
そう話すのは滋賀県立大学の中井直也教授(運動栄養学)。筋肉づくりとタンパク質の関係などについて、長年研究している。
 中井教授によると、私たちの体内のあらゆるところで、タンパク質は常に合成と分解を繰り返し、バランスを保っているという。その中で、筋肉を構成しているのが「筋タンパク質」だ。
 筋トレ後、タンパク質を摂取すると、その「筋タンパク質」の合成が高まる。タンパク質の消化・吸収により、筋肉の原料となるアミノ酸の血中濃度が上昇するからだという。これが筋肉が増える仕組みである。
 厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準(2020年)」では、1日のタンパク質の摂取推奨量は成人男性で65グラム(65歳以上は60グラム)、成人女性は50グラムである。
 では、運動をしている人としていない人ではどうか。
 中井教授が示した海外の研究によると、体重1キログラムあたりに必要な一日のタンパク質の量(単位はグラム)は、以下の通り。
・運動をしていない人=0・8
・週4~5回、30分程度の筋トレ=0・8~1・1
・激しい筋トレをしている人=1・6~1・7
・激しい持久性トレーニングをしている人=1・2~1・4
 つまり、スポーツ選手並みのトレーニングをしている人は、運動をしていない人の1・5~2倍のタンパク質を取る必要があるということだ。

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