大学入試カンニングは「警察に被害届」、文科省が実施要項に明記へ…共通テスト流出受け
5/21(土) 5:00配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/174d453c18c487a33b4874055201508684dcbff0

 大学入学共通テストの受験生が試験中に設問画像を外部に流出させた問題を受け、文部科学省は20日、今年度に行われる大学入試の実施要項に、カンニングなどの不正行為を行えば「警察に被害届を提出する場合がある」と明記する方針を固めた。刑事事件に発展する可能性を示すことで、抑止効果を期待している。

 共通テストを含む大学入試の日程や運営の取り決めは毎年、高校や大学関係者らによる協議会で話し合い、文科省が6月頃に実施要項として公表している。20日に非公開の会合が開かれ、見直し案が示された。

 案では、各大学の判断で不正行為について警察に被害届を提出する場合があることを受験生に周知するとした。入試でのカンニングを禁じる法令はないため、刑法の偽計業務妨害などが適用されるとみられる。

 これまで共通テストでは不正行為が確認された場合、受験生は退出させられ、失格となるだけだった。

 今回の流出問題では、現場で不正行為が確認できず、外部からの通報を受け、大学入試センターが警視庁に相談。東京地検は3月末、出頭した女子受験生を偽計業務妨害の非行事実で東京家裁に送致した。

 2011年の京都大の2次試験で試験中に問題がインターネット掲示板に投稿された事件も、当初は投稿者が分からなかった。京都府警が捜査し、投稿した男子予備校生を偽計業務妨害容疑で逮捕。男子予備校生は、山形家裁で不処分となった。

 見直し案では、監督者の巡視強化も求めている。手の位置や受験生の目線など、巡視時に注意が必要な観点を監督者に十分に周知することも盛り込む。

 文科省などは情報通信に詳しい専門家を交え、スマホの電波を遮断する装置の導入も検討した。ただ、共通テストの全国の会場に配備すると毎年約100億円かかると試算された。コスト面などから導入しない方向だ。