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政府の規制改革推進会議がまとめる医療・介護・感染症対策分野の答申案が判明した。新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、特例的に認めていた「抗原定性検査キット」の薬局での販売を恒久化することなど、約70項目を盛り込んでいる。27日の会議で2022年の答申として決定し、実現に向けた検討を本格化させる。

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 抗原定性検査キットは、購入に医師の処方箋が必要な「医療用医薬品」に位置づけられているが、厚生労働省が昨年9月から特例的に薬局での販売を認めていた。新型コロナ感染の有無を簡単に調べられるので、感染防止と社会経済活動の両立を図る上で需要が高まっていて、変異株「オミクロン株」の流行で品薄となる混乱も生じていた。

 答申案では「医療機関を始め、必要とする場合に不足が生じることのないよう留意する」と付記した上で、医師の処方箋なしでも薬局で購入できる一般用医薬品への転換を求めた。

 一般用医薬品は事前にオンラインで購入していれば、取り扱う資格を持つ店員がいない店舗でも受け取れるようにする検討を求めた。コンビニエンスストアなどで24時間受け取り可能とするためだ。人手不足が深刻な薬剤師の業務効率化も掲げ、薬局以外の場所から患者にオンラインで服薬指導できるようにすることや、薬局で行っている調剤業務の外部委託を認めることも盛り込んだ。

 コロナ禍で利用が広がるオンライン診療を巡っては、患者の本人確認を「対面診療と同程度の厳格さ」に簡素化するため、指針を改定することを提案した。

 介護分野の人材不足を踏まえ、今年度中に有料老人ホームなどでICT(情報通信技術)を活用した実証事業を行い、現在の基準より少ない人員配置でも介護の質が確保されるかどうかを検証するとした。

規制改革推進会議の答申案のポイント
▽抗原定性検査キットを、医師の処方箋なしでも薬局で購入できる「一般用医薬品」に転換

▽一般用医薬品の受け取りを、取り扱う資格を持つ店員がいないコンビニなどの店舗でも可能に

▽薬剤師に、オンラインでの服薬指導や、調剤業務の外部委託を容認

▽オンライン診療での本人確認を対面診療と同程度に簡素化

▽有料老人ホームなどの人員配置基準の緩和に向けた実証事業を実施