【ヒューストン=花房良祐】米国のトランプ前大統領は27日、米最大の銃ロビー団体の全米ライフル協会(NRA)がテキサス州で開いた年次総会で演説し、「左派が推し進める銃規制は悲劇の防止につながらない」と述べた。24日に同州の小学校で21人が殺害される銃乱射事件があった直後だが、銃規制に反対する持論を繰り返した。
トランプ氏は「(民主党は)事件を共和党のせいにしようとしている」と指摘。「過去2年で民主党が警察予算を減らし、犯罪に対する弱腰の政策を導入したことで凶悪犯罪が急増した」と批判した。
再発防止には銃規制ではなく、メンタルヘルス対策や学校の安全対策の強化が必要だと主張。その上で「全ての(学校の)建物は入り口を1カ所にすべきだ」として入り口に金属探知機を設置し、警官を配置することを提案した。「ウクライナに400億ドル(約5兆円)を支援できるなら、子どもたちを守るべきだ」とも述べた。
テキサス州のアボット知事は予定していた出席を取りやめ、ビデオメッセージを寄せるにとどめた。アボット氏は事件が発生した州南部のユバルディに向かった。多数の犠牲者を出した事件への動揺が続いており、住民らに一定の配慮をしたとみられる。
バイデン大統領は事件後、「大半の米国人は常識的な銃規制を支持している」と話し、銃規制の強化を呼びかけた。

日本経済新聞 2022年5月28日 10:06
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