※2022/5/30 16:00

新型コロナウイルスを巡っては、回復後に半年以上も症状が続く後遺症が問題になっている。詳しいメカニズムは不明だが、脳に注目した研究が関心を集めている。新たな治療法に結びつくのか。

「少しすれば回復」との期待に反し
 「倦怠(けんたい)感や物忘れがひどい」。ヒラハタクリニック(東京都渋谷区)の「新型コロナ後遺症外来」を受診した男性会社員(38)は今冬、思考力や集中力などが低下する症状を訴えた。平畑光一院長は「コロナの後遺症と考えられる。悪化するので無理は禁物だ」と説明し、だるさを改善させる薬などを処方した。

 男性は2021年8月に新型コロナに感染した。ワクチンの接種を受けておらず、40度の高熱が4~5日続いた。発症から約3週間後に職場復帰したものの、後遺症に悩まされた。仕事に集中できず、メールを出し忘れたり電車で降りる駅を間違えたりした。「少しすれば回復するだろう」との期待に反し、症状は悪化した。

 上司に事情を説明しても「周りも大変だから何とかやってくれ」と言われた。後遺症外来で治療を受け、物忘れは減ったがだるさが続き、勤め先には今年5月から3カ月間の休職を申し出た。「後遺症がいつまで続くのか……。仕事に復帰しても、以前の状態で仕事ができるのか不安だ」。男性は不安を吐露する。

 後遺症患者を診察している国立精神・神経医療研究センター病院(東京都小平市)でも、30、40代の働き盛りの人が疲労やだるさにより会社に行けず、受診する例が目立つ。待合室や診察室で座っていられず、横になる人も多いという。

 厚生労働省は4月、診療の手引きの別冊「罹患(りかん)後症状のマネジメント第1版」を公表。それに記載された海外の報告によると、後遺症を訴えるなどした9751例のうち、だるさは40%、息切れは36%、嗅覚障害は24%、不安は22%で確認された。

「感染後に新規の病気にかかった」とも

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