少子化、想定以上に加速 総人口1億人割れ前倒しも 政府対策乏しく

2021年の合計特殊出生率が「1・30」と、1947年の統計開始以来、過去4番目の低さとなった。所得が増えないことから将来に希望が持てないことに加え、新型コロナウイルスの感染拡大が低下に拍車をかけた。子どもを持つことに踏み出せない状況が続き、人口減少のスピードが加速化している。【石田奈津子、寺町六花】

 3日に公表された合計特殊出生率(1・30)と出生数(81万1604人)を、国立社会保障・人口問題研究所が17年に公表している人口の将来推計(中位シナリオ)と比べると、少子化のスピードが想定以上だということが明らかになる。将来推計では21年時点の出生率は1・40で出生数は86万9000人と今回の数値を上回る。約81万人という出生数は27年の推計と同等の水準で6年前倒しされた格好だ。

 新たな推計は来年春にも示される予定だが、人口問題の専門家からは「17年推計から下方修正されるのは必至」という声が上がっている。このため、総人口が1億人を割ると予想される時期が17年推計の53年より早まる可能性が高い。

 政府が少子化対策に乗り出したのは、出生率が当時過去最低となり「1・57ショック」と呼ばれた1989年からだ。94年に今後10年で取り組むべき施策をまとめた計画、通称「エンゼルプラン」を作成し、保育サービスの充実などを打ち出した。その後も類似の計画をまとめ、育児休業制度の拡充や保育料の無償化などにも取り組んできたが、歯止めはかかっていない。05年に1・26まで低下し、15年に1・45まで持ち直したものの、16年から再…(以下有料版で、残り1442文字)

毎日新聞 2022/6/3 15:18(最終更新 6/3 19:45)
https://mainichi.jp/articles/20220603/k00/00m/040/121000c
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