共産党の志位和夫委員長は8日の記者会見で、夏の参院選の公約を発表した。
平和外交と物価高騰対策を柱に掲げ、憲法9条改正反対や「異次元の金融緩和」の抜本的見直し、大企業の内部留保への課税などを打ち出した。
ただ国政選挙のたびにこだわってきた野党共闘は後退しており、今回は逆流の中の戦いとなる。

志位氏は会見で「自民党や日本維新の会は敵基地攻撃能力の保有、軍事費の2倍化、9条改定の大合唱をやっているが、
外交による力で東アジアに平和をつくるという大きな対案を掲げて戦いたい」と述べた。

ロシアによるウクライナ侵攻で国防への関心が高まる中、公約では日米安全保障条約を廃棄すると改めて強調した。
急迫不正の際には違憲の存在と位置付ける自衛隊を活用するという独特の見解も盛り込んだ。

今回の参院選で、共産は厳しい戦いを強いられている。
前回の令和元年参院選では32の改選1人区の全てで主要野党の統一候補を擁立したが、今回は東北や甲信越などにとどまる見通しだ。
昨年の衆院選以降に中道路線を掲げ、共産との関係を見直した立憲民主党の泉健太代表らの意向が影響しているとみられる。

共産は参院選で比例代表を軸に議席を伸ばし、次期衆院選に向けて野党共闘への期待感を取り戻すシナリオを描く。
公約にも「市民と野党の共闘を守り、発展させる最大の推進力は共産の躍進にある。政治を変える道は共闘しかない」と記した。

しかし、現下の国際情勢を見据え、他の野党が現実的な安全保障政策を提示できない共産と足並みをそろえる保証はない。
多くの選挙区で独自候補を立てず、比例を重視する共産執行部の方針に対しても、地域単位で党勢が衰退するとの懸念が消えない。
志位氏らは難しいかじ取りを迫られている。(内藤慎二)
https://news.yahoo.co.jp/articles/c969623f24d586f559ae4da1da49608ef4bd0c11