東芝は28日、東京都内で株主総会を開き、「物言う株主」とされる外資ファンド幹部2人を含む取締役選任案が過半数の支持を得て可決された。社外取締役の1人が反対を表明する異例の展開となっていた。新しい取締役会のもとで非上場化を含めた再建策の検討を本格化させる。
 2人は、ファラロン・キャピタル・マネージメントの今井英次郎氏とエリオット・マネジメントのナビール・バンジー氏。人選はファラロン出身の東芝指名委員会委員長、レイモンド・ゼイジ氏が主導した。
 2人の選任を巡り、社外取締役の綿引万里子氏(元名古屋高裁長官)が「取締役会構成の公平性、バランスを欠く」と反対し、取締役会の意見が割れる事態となっていた。
 島田太郎社長は総会で、2人を含む取締役選任案について「企業価値向上に向けた戦略的選択肢の検討とガバナンス(企業統治)の改善という観点から最善だと考えている」と述べた。
 選任案が原案通り可決されたことで、取締役は8人から13人に増える。新たに島田氏が取締役となり、暫定的に取締役会議長を務めていた前社長の綱川智氏は退任する。
 東芝が5月末を期限とした再建策の公募には10件の提案があった。内訳は非上場化関連8件、資本業務提携関連2件で、関係者によると、官民ファンド・産業革新投資機構(JIC)傘下のファンドも提案を行った。
 総会後、安全保障などの観点からJICを軸にした連合づくりが加速するとみられるが、経営再建案の妥当性などクリアすべき課題は山積している。

読売新聞

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