ネット掲示板「2ちゃんねる」に逮捕歴を巡る投稿記事が掲載されているのはプライバシー権の侵害にあたるとして、男性が削除を求めた訴訟の判決が5日、東京地裁であった。中島崇裁判官は「事実を公表されない利益は、掲載が続く利益に優越する」として掲示板の運営会社に削除を命じた。

判決によると、男性は自動車の死亡事故を起こし逮捕され、執行猶予付きの有罪判決を受けた。掲示板には事故や逮捕を伝える記事が投稿された。

判決は▽執行猶予期間が経過し刑の効力は失われた▽男性が公的な立場にはなかった――などの点を挙げ、事故について「公共の利害との関わりは小さくなっている」と指摘した。男性の知人らに投稿を見られる可能性を考慮し、プライバシー権の保護などが投稿が残る利益よりも優越すると結論付けた。

投稿を巡っては男性が「就労環境やプライベートへの悪影響が生じかねない」として削除を求め提訴していた。

2022年7月5日 18:56
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE057FZ0V00C22A7000000/