ナイキの「選別」で始まった靴小売りの地殻変動
小売り各社を揺さぶる大手ブランドの直販強化

山﨑 理子 : 東洋経済 記者

2022/07/06 6:00

東京駅八重洲口の地下に広がる八重洲地下街。国内靴小売り首位のエービーシー・マートと、2位で「東京靴流通センター」などを展開するチヨダの店舗が隣り合わせで並ぶ一角がある。

ビジネスカジュアルの普及、コロナ禍における健康志向の高まりもあり、ここ最近の売れ筋はもっぱらスニーカーだ。国内有数のビジネス街である八重洲も例外ではなく、スニーカーの品ぞろえに強みを持つエービーシー・マートはもちろん、もともと紳士・婦人靴が主力のチヨダも、店頭ではカジュアルシューズの取り扱いに力を注ぐ。

ただ、双方の店舗に陳列されたスニーカーを見ると、品ぞろえの違いが目に留まる。エービーシー・マートでは1区画を丸ごと使って展開するナイキの商品が、チヨダでは「取り扱いがない」(店員)という。
代わりにチヨダでは、ウォーキングに特化したスケッチャーズの商品や、「立ったままスパッと履ける」とうたった自社オリジナルのスニーカーが目立つ場所に並べられている。

チヨダでも以前は多くの店舗でナイキの商品をそれなりに取り扱っていた。が、「数年前から、仕入れられる商品が段階的に絞られてきた」(チヨダ広報担当者)。業界首位と二番手の店で今、ここまで品ぞろえに差が出ているのはなぜなのか。





靴小売り世界大手もナイキ商品を縮小
https://toyokeizai.net/articles/-/601753