8日、街頭演説中に襲撃された安倍元総理大臣が、奈良県内の病院で亡くなった。67歳だった。

【映像】安倍元総理襲撃事件 ひろゆき氏の「無敵の人」対策

 この突然の事件が自民党、岸田政権にどのような影響を与えるのだろうか。ニュース番組「ABEMA Prime」では、議論を行った。

 産経新聞・元政治部長で安倍元総理に関する本を執筆するなど取材を続けてきた政治ジャーナリスト・石橋文登氏はこう語る。

「はたして今後、岸田総理は安倍元総理がいない中、選挙ができるのか。逆に言うと、自民党支持層の一番コアな保守層、安倍元総理の岩盤支持層は3割くらいいる。
彼らをどうやって押さえるのか。慰安婦問題、日韓合意、日露交渉をどうするのか。安倍元総理だから抑えられていた層だったのが、彼がいなくなって非常に自民党が不安定になるのでは。
岸田総理も制御できないし、党自体も制御ができない時代が来てしまうのではないか」

 ここで元経産官僚の宇佐美典也氏は「清和政策研究会(※自由民主党の派閥で安倍派とも呼ばれている)を誰が押さえるのか」と投げかけ。
石橋氏は「おっしゃるとおりだ。最大の派閥を率いるというが、あれは森(喜朗)さんが押さえて、そのあと安倍さんがいたから100人でまとまった」と分析する。

「正直言って、代わりに下村(博文)さんが抑えますよと言ったら誰も言うことを聞かないだろう。
その下に安倍さんの右腕、左腕だった萩生田光一経産大臣、それから西村康稔前経済再生担当大臣、それから参院幹事長の世耕(弘成)さん。
このあたりが右大臣、左大臣だが、上がいなくなったら彼ら3人は手を合わせないと思う。なぜなら、ライバルになるから。非常に自民党が不安定になっていると思う」

 ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏は「最大派閥が崩れるということは、むしろ現職の岸田総理にくっついた方が何かしらの役職なり、
利権なりにありつけるかもしれない。岸田総理の派閥が大きくなって、安定する可能性はないのか」と質問する。

 ひろゆき氏の質問に石橋氏は「そもそも清和会のメンバーと岸田さん率いる宏池会は水と油とまでは言わないが、いちいち違う。
経済政策もいわゆる財政規律を重んじるか(宏池会)、リフレ派で経済成長を重んじるか(清和会)。安全保障、防衛も違う。
彼らを安倍元総理がいたからグッと抑えられていた。安倍さんがいなくなったら話がつかない状態になると思う。
高市(早苗)さんをみんなが推すことも正直言って、ほぼないだろう。安倍元総理がいたから高市さんが推された」と回答。

 ひろゆき氏は「結局、今回の選挙に関しては自民党が大勝する大枠は崩れないと思う」とした上で
「利権に寄る側の人たちがいて、結果として、岸田政権がかなり安定政権になるのではないか。選挙に勝ったことで岸田政権に文句を言える人がいなくなってしまう」と指摘。

 石橋氏は「党内や自民党支持層の批判を岸田総理が本当に抑えられるのか不安がある」と話す。

「やっぱり安倍元総理は、選挙に勝ち続けた。2年ちょっとで衆院選3回、参院選3回。選挙に勝ち続けるのは間違いなく総理が強くなる。
清和研の安倍元総理が率いた面々も岸田さんに対して非常に不満が溜まっている。それをある意味、安倍元総理1人が文句言っているように見えたけど、あれは皆の不満を代弁していた。
たとえば、防衛費や内閣改造、日銀の総裁の人事もある。これから半年間くらいは本当に自民党を揺るがすくらい、また岸田派と安倍派で対立するのではないかと思われるかもしれないが、
安倍さんがいなくなってせいせいするどころか安倍元総理がいなくなることによって、(岸田総理が)やりやすくなったとは思わない」
https://news.yahoo.co.jp/articles/e56c5d7457304aaddbe08a44477afb1b2843e8c8