ビジネスジャーナル2022.07.12 06:00
https://biz-journal.jp/2022/07/post_306432.html

客席数1300、7つの専門店で構成される「日本一の学食」こと「東洋大学白山キャンパス6号館地下1階学生食堂」
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いま「学生食堂」運営の新しい傑出したノウハウを持つ飲食企業としてORIENTALFOODS(本社/東京都品川区)が注目されている。

 その発端は、「日本一の学食」の「東洋大学白山キャンパス6号館地下1階学生食堂」を運営していること。この学食がこう称されるようになったのは、早稲田大学のサークル「早稲田大学学食研究会」がそのように認定したことに始まる。これは同サークルが独自に行っていることで、厳密な客観性は存在しない。しかしながら、類似の媒体が続々とここを「日本一の学食」と認めるようになったことから、いつしかこれが定説となった。

 この学食は客席数1300、ここに7つの専門店(インドカレー、カフェ、パスタ、洋食、鉄鍋ごはん、窯焼き料理、韓国料理)が出店し、フードコートの形態を取っている。メニューの価格は一律550円(税込)から、一般の飲食店では1000円に相当するクオリティを、この価格で提供していて、限られた時間でニーズに応えるというスピード提供を行っている。オリエンタルフーズはこの中で、洋食、鉄鍋ごはん、窯焼き料理の3店舗を営んでいて、さらに「洗い場」業務と同施設のマネジメントを担当している。

実店舗を構え学食の休業期間を補う
 オリエンタルフーズが「日本一の学食」の一員となり、後述するが学食運営の新しいノウハウを持つようになった経緯はこうだ。

 同社代表の米田氏は1974年3月生まれ。専門学校を卒業後、都ホテルのバーテンダー、オーストラリアでのワーキングホリデーなどさまざまな形で飲食業を経験。2004年30歳の時に個人事業主としてバーを運営受託した。この時、東洋大学学食の一部でカフェの立て直しを任されることになった。そこで同社は当初日商3万円に満たない店舗を16万円あたりまで引き上げた。そして、06年8月にオリエンタルフーズを設立。

 このカフェの運営はリセットすることになり同社の運営受託はいったん終了。その後、リニューアルする過程でこの施設をプロデュースする会社から出店を要請される。このリニューアル後の学食はたちまちにして「日本一の学食」となった。

 学食運営の事業者にとって大きな課題は、大学が年間約4カ月間休業し、この間学食を運営できないということだ。オリエンタルフーズはこの休業期間を一般の飲食店のオペレーションを臨時で請け負うことで売上をまか
なっていた。具体的には、東京・五反田の東急池上線高架下の「五反田桜小路」に肉バルやワイン販売店を出店することによって、常設の飲食店を構えることができた。これによって後述する五反田のイベント等に参加するようになり、このノウハウが整っていくにつれて事業内容が広がっていった。


また、フードトラックの事業にも着手した。きっかけは学食運営で培ったスピーディな調理、販売予測とロス管理のノウハウがこの分野に生かせると考えたからだ。これを手掛けるようになってから、産地との関係性が深まるようになり、淡路島、鹿児島、北海道、山口、高知、福岡、山梨等々、産地の食材を使用したフードメニューを提供、フードトラックが都会で営業することによって地方活性化につなげるプロジェクトに発展するようになった。現状、フードトラックは3台保有している。

オリエンタルフーズでは、東洋大学での学食、五反田でのリアル店舗、フードトラックと店舗運営の形態が広がっていったが、それぞれの運営に関して学生に積極的に参画してもらう仕組みをつくっていった。これは学食で学生に触れる機会が多いなかで米田氏自身がひらめいたという。米田氏はこう語る。

「学生のアイデアは斬新で、それが実際の営業に新しいアイデアとして生かされると働いているわれわれが触発される。そして、アイデアが採用され実績として現れた学生にとって、その教育的効果はとても大きいと考えるようになった」

 五反田桜小路でリアル店舗を構えたことがきっかけとなり、五反田駅前の肉フェスである「五反田G1グランプリ」に参加するようになった。同社はここで2014年と19年に優勝しているが、19年に優勝した「伝説の牛カツ赤ワインソース」は学生アルバイトが提案した企画であった。このほか、肉バルでも学生アルバイトのアイデアをメニュー化した事例が数多くある。

 このような活動が、20年3月放送の「カンブリア宮殿」(テレビ東京)で紹介されたところ、大きな反響があった。
※以下リンク先にて