7/23(土) 9:43配信 弁護士ドットコムニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/238bbe8d4e9c5a5d86b15381ddec1d04397c39c8

今年(2022年)の春闘で、出版業界でフリーランスとして働く人の労働組合「出版ネッツ」が報酬の10パーセント引き上げを求めたーー。インタビュー記事を掲載したところ、ライターとして生計を立てる人たちから大きな反響が寄せられた。

同組合は取材時「報酬の水準は30年間変わっていない」だけでなく、ウェブ媒体においては「クラウド型のマッチングサイトで『1文字0.5~1円』といった破格な低報酬の案件がやりとりされている」と、フリーランスのライターをめぐる厳しい状況に言及した。

しかし出版不況や雑誌の相次ぐ休刊で、ウェブに活路を見出そうとするライターは多い。筆者も当事者の一人であり、同業者たちがどう考えているのかは気になるところだ。紙媒体やウェブ業界に詳しいライターに事情を聞く機会を得た。(ライター・高橋ユキ)

●「SEOで稼いでいる人はよく『上流工程を目指す』と言う」

低額の文字数単位の報酬案件が最初に話題になったのは、2016年に起きたDeNAの医療情報健康サイト『WELQ』騒動の際だった。当時、サイト上には医学的に不正確な記事が多数アップされているとして多方面から批判を浴び、DeNAは再監修のため全ての記事を非公開に。のちサイトは無期限休止へと至る。

この過程で「1文字1円ライター」と言われる、格安で仕事を請け負うライターたちの存在が炙り出された。彼らは、参考となるURLをもとに「元サイトと内容が類似しないように」など、いわゆる“パクリだと分からないように見せる”ためのマニュアルに沿ってライティングしていたのだという。マニュアルはWELQ側が作成したものだ。

WELQは閉鎖されたが、大手クラウドサービスにはいまも「1文字0.●円」などさらに安価な仕事が並んでいる。

紙媒体のほかSEO、オウンドメディア業界でも仕事を請け負うフリーランスのライター、Aさんに話を聞くと、一般的に単価が高いとされるSEO案件でも、「文字単価1円台の募集がすごく多い」という。

「クラウドソーシングが安いというイメージがあるかもしれませんが、SNSで募集をかけている案件でも文字単価1~2円台の案件は多く、SEOはそんなに高くはないと感じています。SEOで稼いでいる人はよく『上流工程を目指す』と言います。

ディレクター的ポジションとなり、クライアントから文字単価3~5円ほどで発注された案件を、ライターに文字単価を下げて発注するという流れです。そういう仕組みは好ましいとは感じていませんが、SEOで稼ぐにはそうせざるを得ない現状はあります」

SEO案件での執筆は、Google検索で上位表示されるように指定されたキーワードを文章に盛り込むなど、さまざまな工夫をする必要があり、単純に時間がかかる。

Aさんが請け負うSEO案件の文字数は3000~4000ほどで文字単価は1.5円が主流。1記事あたりおよそ、4500~6000円の原稿料となる。これだけで月に30万円を売り上げようとすれば、50本以上の原稿を書く必要があるのだが、発注元によっては、最終的な文字単価が下がるような注文をつけてくる場合もある。

「『句読点は文字数に含まない』といった案件があります。あといろんな口コミを紹介して構成するレビュー記事なのに『クチコミは文字数に含めません』というところもある。かなり大変です。そんな怪しいクライアントは、SEO案件を請け負うライターの間で話題になりますね。

実際に文字単価0.5円でマニュアルも厳しく、修正依頼も多い案件を受けたことで、ライターに向いてないと思い、諦めてしまった方もいます。文字単価が高い方が仕事内容が厳しいというイメージを持たれがちですが、全然そんなことはないんです」(以下ソースで