関西一円で巨額の寄付を集める
「あの女霊能師にやられて、私は高額の壺やペンダントなどを購入し、膨大な寄付もしてきました。その総額は3500万円ほどになります。

山上容疑者の母親が旧統一教会に寄付したうち、2000万円程度はあの女がかかわっています。関西地方の旧統一教会で霊感商法に携わる人物のなかでも、最も悪質な人だと思っています」

こう話すのは、数年前まで旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)に在籍していた元信者のAさんだ。Aさんは、山上徹也容疑者の母親とも旧知の関係にある。Aさんの自宅の居間には、今も旧統一教会で買わされた壺、ペンダント、指輪などが埃をかぶったままほったらかしになっている。


山上容疑者の母親が寄付を余儀なくされた「霊能師」なる女性が、旧統一教会に存在することが「現代ビジネス」の取材でわかった。

この東山美奈子氏(仮名)は、大阪府東大阪市の旧統一教会に所属し、霊感商法関連の裁判資料の組織図では「先生」と位置付けられている。だがその実態は関西一円で「霊能師」として振る舞い、巨額の寄付を集めている中心人物なのだという。

「信者を恐怖のどん底まで突き落とさんばかりに畏怖させて、最後に登板するリリーフエースが東山さんでした。寄付をするという言質を取り、高額な契約書にサインさせる統一教会の切り札的人物でした」(Aさん)

全国霊感商法対策弁護士連絡会の加納雄二弁護士(大阪弁護士会)は、この東山氏を裁判所で尋問した経験がある。加納弁護士もこう証言する。

「私は東山氏が関係した10人以上の被害者の案件を手掛けてきました。東山氏は一見するとただのおばさんですが、旧統一教会のモンスターです。

Aさんは、25年ほど前、繁華街で声をかけられて旧統一教会に入信した。

「最初はアンケートだと言って呼び止められたんです。手相の話になって『近くにいい先生が見てくれるから』と連れていかれました。その後、ビデオセンターという統一教会の拠点でいろいろなビデオを見せられ、やがて入信しました」

入信したAさんがずっと気にしていたのは、かつて授かった子どもを1人、幼い頃に亡くしたことだった。Aさんを勧誘した信者は「素晴らしい先生がいるから見てもらおう」と誘った。東大阪市の旧統一教会でAさんに向き合ったのが、東山氏だった。

「霊界で子供が苦しんでいる。私にはよく見える」
「ご先祖の色情因縁が、苦しみの理由だ」
「救ってあげられるのは、あなただけ」

Aさんに向かって矢継ぎ早に語った東山氏は、気がつくと床に倒れこんだ。

「うう、苦しい」

そう言って悶絶しはじめたのだという

東山氏はさらにこう言った。

「霊界のお子さんは崖っぷちだ。今は私がなんとか抑えている。最後はあなたが助けるしかない。今度はあなたの命が危なくなる。霊界解放が必要だ」
「Aさんの一家が絶家(やがて途絶える)になる」

床に伏せたまま東山氏は言葉を継いだ。

「ご先祖様が献金を待っているのが見える」
「現金があるなら、清めなければならない」


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