岸田文雄首相は27日、新型コロナウイルス感染者の全数把握見直しについて「ウィズコロナに向けて新たな段階への移行策として、全国一律で導入することを基本として考えている」と明言し、特定の医療機関から報告を求める「定点把握」導入に向けた仕組みを検討する意向を示した。政府は9月後半の導入を検討している。

 首相はオンラインで記者団の質問に応じた。首相は全数把握の見直しに向け「必要な環境整備に一定の時間が必要だ」と説明。そのうえで、具体的に①全数報告の対象外となる若い軽症患者の自宅療養に向けた検査キットのOTC医薬品(処方箋なしに購入できる医薬品)化②全都道府県での健康フォローアップセンターの整備③医療機関を抽出して調べる定点把握の仕組みの検討④軽症者の数を把握するための情報把握システム「HER―SYS(ハーシス)」の改修――を進める方針を示した。

 24日に表明した自治体の判断で入力対象を限定できる仕組みについては「全国一律でのシステム移行を待つことなく、前倒しで柔軟に対応できることを可能とした」と説明した。


 首相はまた、無症状の感染者について「待機している途中で外出を可能とする対応などはしっかり議論して結論を出していきたい」と述べ、条件付きの外出を容認する可能性を示した。

 政府はこれまでハーシスに医療機関が感染者情報を個別入力することで全数把握していた。だが、「第7波」の感染拡大を受け、医療機関の入力作業が業務を圧迫していた。

 定点把握は季節性インフルエンザなどで導入されている手法で、入力は特定の医療機関に限定されるが、新規感染者の総数などは把握できなくなる。政府は今後の状況を見極めた上で定点把握の導入手法を決める。【源馬のぞみ】

毎日新聞 2022/8/27 19:52
https://mainichi.jp/articles/20220827/k00/00m/010/192000c