バス運転手、トラックドライバーらによる悲惨な交通事故が後を絶たない。こういった事故を防ぐ砦となるのが、乗務の前後に行う点呼である。だが人手不足著しい業界において、点呼の実施は事業者の大きな負担となっている。

■自動車運送事業者に課せられる「点呼」とは
 バス、タクシーなどの旅客輸送、トラックなどの貨物輸送を行う自動車運送事業者は、ドライバーが乗務する前後に点呼を行うことが義務付けられている。

 特に乗務前点呼は大切である。

 飲酒やドラッグなどの悪質な違反だけでなく、ドライバーの健康状態を確認し、安全に運転が行える状況であることをチェックすることで、重大事故を防ぐ効果があるからだ。また運行前に行う日常点検結果を確認することで、整備不良を起因とする事故を防ぐ効果もある。

 しかし、運転中に飲酒をするような不埒(ふらち)なドライバーもいる。乗務後点呼は、そういった行為を防ぎ、また洗い出す効果を発揮する。

 点呼は大原則として人が対面で行うこととされる。アルコールチェック、健康状態の確認などの一連の点呼業務を担うロボット点呼を導入する事業者も少しずつ出てきているが、最終確認を行うのはあくまで人である。

 だが人手不足が課題となっている運送会社、バス会社、タクシー会社などの自動車運送事業者において、点呼のための人員を確保するのも楽ではない。

■苦肉の策、長時間労働を行う運送会社社長
「さすがにね、俺だって身体はキツイよ……」。知己の運送会社社長は、筆者にぼやいた。当たり前だ。何しろ、この社長は1日18時間近く会社にいるのだから。

 運送会社の朝は早い。同社でも、トラックドライバーが出勤してくるのは2時から4時の間である。社長は乗務前点呼を行い、ドライバーたちを送り出す。ドライバーたちを送り出し終えた5時頃、社長はいったん帰宅する。再び出社するのは11時過ぎだ。

 出社すると、社長は翌日の配車計画を作成し始める。ドライバーたちが帰社する16~17時頃までに配車計画立案を終えるのが理想だが、荷主の都合により配車が確定しないことも多い。

 帰社したドライバーたちの乗務後点呼を行っていると、18時頃になってしまう。社長が経営者としての仕事を開始するのは、これからだ。身体がキツイときには応接室のソファーで仮眠を取ることもあるが、基本、社長はそのまま働き続け、ドライバーたちの出社を迎える。

 この社長の場合は、ひとりで仕事を抱え過ぎなのも間違いない。だが、1日18時間も会社にいる状況については同情に値する。

 「だってさ、ウチみたいな吹けば飛ぶような中小運送会社で、点呼のためだけに深夜帯に人を置く余裕なんてないぞ」。社長の嘆きは、厳しい中小運送会社の懐事情を端的に言い当てている。

 残業規制の軛(くびき)から除外される経営者が人手不足の受け皿になり、長時間労働を強いられている、このような事例もあるのだ。

■打開策「遠隔点呼」制度の課題とは
 もちろん、自動車運送事業者を管轄する国土交通省も、点呼を行う上での現場の苦しみは分かっている。そこで考えられたのが、遠隔点呼制度(旧IT点呼)である。

 点呼は、大原則として対面で行うことが定められている。この背景には、対面でなければドライバーの不正──例えば、アルコールチェックを他人に代わってもらうなど──を防いだり、また顔色や立ち振舞などを確認し、健康状態に問題があるかどうかをチェックしたりすることが難しいからである。

 対面で点呼を行うためには、営業所ごとに点呼を行う人員が必要となる。対して、複数の営業所を持つ事業者において、営業所間を動画通話機能などを備えた専用機器で接続し、ひとつの営業所から複数営業所の点呼を行うのが、IT点呼制度である。

 IT点呼の導入によって、例えば深夜早朝の点呼においては、営業所Aにいる点呼担当者が、営業所B、営業所C……というように複数の営業所における点呼をまとめて担当することで、人員の削減を図ることができる。

 IT点呼は、2022年4月から遠隔点呼と名前を変えて運用されている。

 遠隔点呼は、以下三つの要件を満たすことを事業者が事前に申請し、承認を得ることができれば実施できる。

・使用する機器・システムが、遠隔点呼実施に必要な要件を満たしていること
・遠隔点呼を行う施設と場所が、指定された環境要件を満たしていること
・運用上の遵守事項を事業者が守ること

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