安倍晋三元首相の国葬は、費用約2億5千万円の全額を国費で支出することが閣議決定された。ただ、幅広く支持を得られると踏んでいた政府の思惑は外れ、反対がじわじわと高まり世論は二分。焦りを募らす政府は、国民に弔意を無理強いしない方針を強調するなど反発回避に腐心するが、法的根拠の曖昧さなど見切り発車のつけが政権への逆風を強めている。

弔意表明の協力見送り

 「国民一人一人に喪に服することや政治的評価を求めるものではない」。松野博一官房長官が26日の記者会見で国葬の意義と合わせて強調したのが、反対世論への配慮だった。過去の首相経験者の葬儀で要請してきた弔意表明への協力を見送る方針も示し、「国際社会から寄せられた多くの弔意に礼節を持って丁寧に応えることも重要だ」と理解を求めた。

 岸田文雄首相が国葬を決断したのは安倍氏の死からわずか6日後だった。安倍氏を支えた岩盤保守層のつなぎ留めを念頭に、日程や会場も矢継ぎ早に決定。当初は好意的な受け止めも多く、首相周辺は「野党は反対しても自分たちの支持率が下がるだけだ」と余裕を見せるほどだった。

相次ぐ訴訟、監査請求

 ところが、時間がたつにつれて否定的な雰囲気が強まっていく。首相経験者の国葬は1967年の吉田茂元首相以来、戦後2例目。政府は内閣府設置法を根拠に実施の正当性を主張するが、「なぜ安倍氏だけ特別なのか」「弔意を押し付けるのか」と徐々に反発が広がり、違憲訴訟や監査請求も相次ぐ。

 国葬に関する国会審議に及び腰な政権への批判も高まり、報道各社の調査では反対が賛成を上回る状況に陥っている。

弔問外交の意義前面に

 批判の矛先をそらしたい政府、与党は各国の要人が集う「弔問外交」の舞台となる意義を前面に出し、内容も「弔問客を受け入れる最低限の様式で派手にしない」(政府高官)。費用は2020年に行われた中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬の約1億9千万円を引き合いに「参列者が大幅に増えることや警備強化を考えれば簡素で妥当だ」(自民党幹部)と訴える。

 国葬まで1カ月。反発がさらに強まるのか、弔いムードの高まりで容認論が広がるのか-。首相周辺は安倍氏が力を注いだ外交実績に期待を込めてこう望みを託す。「海外の評価を見て世論は絶対に国葬をやって良かったとなるはずだ」

https://www.nishinippon.co.jp/sp/item/n/979129/
※前スレ
https://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1661728854/