宮城県が2日に始めた新型コロナウイルス感染者の全数把握の簡略化は、重症化リスクの低い人の扱いが大きく変わる。医療機関が保健所に出す発生届の対象外となるため、保健所のフォローから外れる。自宅療養中の体調悪化などは県の「陽性者サポートセンター」に相談し、ホテルでの療養や生活支援品の配送は自ら申し込む必要がある。

五つの条件
 県は同日、既存の検査キット配送・陽性者登録センターなどを統合し、サポートセンターを開設した。仙台市職員らを含む約50人体制で、感染者の登録と自宅療養者の支援に当たる。初日は185人が登録された。

 感染判明から療養までの基本的な流れは図の通り。
https://kahoku.news/articles/20220903khn000001.html?format=slide&page=2

 医療機関で感染が確認された人のうち(1)65歳以上(2)入院が必要(3)重症化リスクがあり治療薬の投与や酸素投与が必要(4)妊婦(5)医師が保健所による健康観察が必要と判断-の場合、発生届の対象となる。国の情報システム「ハーシス」に入力され、保健所から連絡が来る。五つの条件に該当しなくても感染者として確定しているため、ホテル療養や物資配送を申し込める。

 一方、自己検査や県が実施している無料検査で陽性が分かった人は、自ら県の専用ウェブサイトにアクセスしてサポートセンターで登録しなければ、こうした支援を受けられない。

発生届の有無で差
 自己検査についても、県が配布する検査キットか、薬局で販売されている「体外診断用医薬品」でなければ申請が認められない。自宅療養中に体調が急変した時はサポートセンターに連絡すると、常駐する医療スタッフが相談に応じる。

 発症日から10日間経過するなど、所定の期間が過ぎれば療養を解除する。

 県新型コロナ調整室の渡辺一晃総括室長補佐は「(発生届の有無で)支援内容に差がつくが、重症化リスクの高い人に集中するためと理解してほしい。サポートセンターの設置で、発生届の対象外となった患者にも支援が行き届くよう気を付けていく」と話す。

 体調悪化時などの連絡先は仙台市と市外で異なる。市内は080(2849)6574、090(1403)0571。市外は(0120)890181。いずれも24時間対応する。

河北新報 2022年9月3日 6:00
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