2022/9/9 17:25

 エリザベス女王の「国葬儀」――。松野博一官房長官は9日午前の記者会見で、亡くなった英国のエリザベス女王の葬儀を、安倍晋三元首相の国葬について政府が用いている「国葬儀」と同じ言葉で表現した。

 松野氏は記者団から、政府としてエリザベス女王の葬儀に首相特使を派遣するか検討しているかを問われた。その際、「現時点において、『国葬儀』を含めた今後の日程について正式な発表が(英国政府から)なされているとは承知していない」と答えた。

 政府は安倍氏の国葬を、行政府が執り行う国の行事だと定義している。法的根拠がないとの批判に対して、内閣府設置法で内閣府の所掌事務とされている「国の儀式」だと説明。そのため7月には、「故安倍晋三国葬儀」という名称で実施することを閣議決定した。戦前の「国民は喪に服す」と記された「国葬令」に基づく「国葬」と区別する狙いもあるとみられる。岸田文雄首相や松野氏も、安倍氏の「国葬」とはいわず当初から「国葬儀」と繰り返し述べてきた。

 松野氏は9日午後の会見で、「国葬」と「国葬儀」の違いについて記者団から問われ、「表現に関しての違いは、私は確たることは申し上げることができない」としながらも、「現状の行政において正式に国の儀式として葬儀を行う場合、『国葬儀』という表現をとっている」と語った。

 一方、英国には国王や特別な功労者を対象とし、議会承認が必要な「国葬」の制度がある。エリザベス女王の葬儀は「国葬」として執り行われる見通しだ。

 松野氏は会見で、安倍氏の国葬についても説明し、「国民に対して説明を尽くし、理解をいただくことは重要だ。今後とも、国民の理解が得られるよう、様々な場を通じて丁寧に説明を尽くしていきたい」と改めて語った。9日の会見場では女王の死去に対して弔意を示す弔旗が掲げられた。(楢崎貴司)

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