同盟国トップは安倍国葬に参列しない(C)ロイター
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 岸田首相がもくろむ「弔問外交」のお株を奪われそうな展開だ。英国のエリザベス女王(享年96)が8日(現地時間)に逝去。世界中から弔意が寄せられている。英メディアによると、女王の国葬は2週間以内に営まれる見通しだという。英君主として最長の70年にわたる在位期間を誇る女王の国葬には、各国首脳や王室関係者の参列が見込まれる。岸田首相が起死回生を狙う安倍元首相の国葬(27日実施)が、ますますかすんでしまいかねない。

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 英政府などが女王死後の計画を事前にまとめた「ロンドン橋作戦」によると、女王の国葬は死後11日目に執り行われる。作戦通りに進めば、19日にもロンドン中心部のウェストミンスター寺院で営まれる見通しだ。

 訃報から間もなく、海外要人の訪英が報じられ始めている。バイデン米大統領は9日、オハイオ州での演説を終えコロンバス国際空港で大統領専用機に乗り込む際、記者団に対し、女王の葬儀について「詳細は分からないが、行くつもりだ」と語り、参列を表明した。

 エリザベス女王は英国史上だけでなく、存命する世界の君主の中でも最高齢だった。国内外から国民統合の象徴として人気と尊敬を集め、「世界で最も有名な女性」とも呼ばれた。そんな歴史的人物の国葬にG7メンバーはもちろんのこと、各国首脳や元首クラスが一堂に会するのは想像に難くない。ましてや、英連邦の国家元首の葬儀だ。

 女王国葬が予定通り実施されれば、安倍元首相の国葬はその8日後。岸田首相は「弔問外交」をもくろんでゴリ押ししているが、かえってみすぼらしさが際立つことになりはしないか。

■G7はじめ英連邦トップが参列

 フランスのマクロン大統領やドイツのメルケル前首相は結局、見送り。岸田首相は8日の閉会中審査で、参列予定の海外要人として米国のハリス副大統領、カナダのトルドー首相、インドのモディ首相、豪州のアルバニージー首相、シンガポールのリー・シェンロン首相、ベトナムのフック国家主席らの名前を挙げたが、格落ち感は否めない。

「岸田首相が名前を挙げた首脳が全員来日するとしても、彼らはすでにエリザベス女王の国葬の場で『弔問外交』を展開しているでしょう。わざわざ安倍元首相の国葬でトップ会談する必要もない。そもそも、ニューヨークで開かれ、各国代表がスピーチする国連総会一般討論と日程が重なっています。日本政府が安倍元首相の国葬を舞台に、参列する各国関係者との2国間外交を想定しているとしても、スケジュール的に下準備ができているのか疑問です。当初、各国首脳が顔をそろえるサミットのような場を思い描いていたのでしょうが、そのもくろみは完全に外れています」(高千穂大教授の五野井郁夫氏=国際政治学)

 女王が亡くなる直前、新首相に任命したトラス氏はジョンソン内閣で外相を務め、ウクライナ侵攻前から強力にロシア制裁を進めた人物。女王国葬の場は顔を売るにはもってこいだ。岸田首相は「ザ・弔問外交」をみせつけられかねない。

「安倍元首相の国葬に関する反対世論の大きさを考えれば、いやが応でも、エリザベス女王の国葬と比較されるでしょう。事ここに至っては、無理やり国葬を実施しても、政権支持率が下落する要素しかありません」(前出の五野井氏)

9/10(土) 14:03配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/bb67c8dcf9f9cb44e5beb634a5bae2f680b622c5