【ワシントン=赤木俊介】米国の学校で一部の書籍を締め出す動きが加速している。非営利団体ペン・アメリカは19日、2022年6月までの1年間に1648冊が「禁書」として規制されたとの報告書を発表した。米国では一部保守層が人種差別やLGBTQ(性的少数者)について教えることに反対している。11月に迫った中間選挙では教育も争点になっている。

報告書によると32州の138学区、400万人近くの学生が通う計5000校以上の学校で本が規制された。主に青少年向けのフィクション作品が対象で、規制された本のおよそ4割はLGBTQのテーマを扱っていた。

ペン・アメリカが4月にまとめた報告書では21年7月~22年3月に規制された本の数は1145冊だった。米メディアはほかの調査結果も踏まえ、禁書の数が過去最大の水準になっていると指摘する。

米国の教育現場では人種差別や性的少数者に関する教育に反対する動きが一部の保守派の間で強まっている。禁書を促す組織や団体が各地の教育委員会に訴えたり教員や図書委員を刑事告訴したりして本の規制を求めているという。

日本経済新聞 2022年9月20日 5:45 (2022年9月20日 7:48更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN194R90Z10C22A9000000/?n_cid=SNSTW006&n_tw=1663641967