180匹ものネコを、劣悪な環境で飼育していたブリーダーの女が逮捕された。近隣住民とのトラブルも絶えず、自治体も手を焼く中、刑事事件にまで発展したことになる。

■「購入したばかりのネコが病気に」

キッカケは、去年10月、埼玉県警浦和署とさいたま市に寄せられた相談だった。「購入したばかりのネコが、すぐ病気になった」というものだった。同じような相談は、他にも数件寄せられていたとのこと。

同月29日、さいたま市が、さっそく立ち入り調査に乗り出した。それが矢野悦子容疑者(60)だった。矢野容疑者は、2007年にブリーダーとして登録。2階建ての自宅で、ネコを飼育していた。店名は「ねこやさん」だった。

市の職員が矢野容疑者宅を調べたところ、180匹のネコがいたという。ゲージに入れられているネコもいれば、室内で放し飼いされているものもあったそうだ。とにかく、”劣悪な”飼育環境だったという。

■近所の人に「うるせえ、クソばばあ」

すぐに、このうちのスコティッシュフォールド、マンチカン、メヌエットの2匹ずつ、合わせて6匹が、動物愛護団体に引き渡され、保護された。この6匹は、上部呼吸器感染症、結膜炎、耳ダニ、皮膚炎の症状が見られたという。

一方で、矢野容疑者宅の周辺を取材すると、トラブルが絶えないことも分かった。週2回の回収日には、大量のゴミが出されていたとのこと。矢野容疑者は、ネコの飼育に関するゴミも、業者に委託せずに、一般ゴミとして出していたそうだ。

さいたま市からも、度々、注意を受けていたという。劣悪な環境からか、周囲の住宅街には悪臭が漂っていたとのこと。近所の人たちが、ゴミ出しや悪臭について注意すると、矢野容疑者は「うるせぇ、クソばばあ」などと罵声を浴びせることも少なくなかったという。

■「診察させていないが。虐待していない」

また、近所の人によると、ブリーダーとして雇っていた従業員とも、トラブルになっていたとそうだ。この状況を見かねた第三者が、飼育の手伝いに来ることもあったという。矢野容疑者に限らず、この類のケースでは、必ずと言っていいほど、近所の人とトラブルになっている。

さらに、捜査関係者によると、ネコを購入した人からの評判も悪かったとのこと。買ったばかりのネコがすぐ病気にかかったり、体調を崩したりしていたという。劣悪な環境に、多頭飼育、購入者からのクレーム、近隣とのトラブル・・・。

まさに”悪質ブリーダー”の要件を全て満たした矢野容疑者は、9月28日、埼玉県警に逮捕された。容疑は、上記6匹に対する動物愛護法違反。去年6月ごろから、この6匹が病行きにかかっていたにもかかわらず、獣医の診察を受けさせるなど、適切は保護を受けさせず、虐待した疑いだ。

6匹のネコが病気だったことは認識していた矢野容疑者。しかし調べに対しては、「診察を受けさせていなかったのは間違いないが、ご飯をあげたり世話をしていて虐待はしていない」と容疑を一部に否認しているという。

10/2(日) 18:09配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/8bef4551eb2e41e88686131b8cb695362df5e3e7
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