【ロンドン=大西康平】3日のロンドン外国為替市場で英通貨ポンドが上昇し、英クワーテング財務相が大規模な減税策を打ち出す前の9月22日の水準を一時回復した。同財務相が、減税策の一部の高所得者向けの所得減税を撤回すると表明したためだ。ただ市場の警戒感は続いており、国債と株式は軟調に推移している。

3日にはポンドが買われ、一時1ポンド=1.13ドル台前半を付けた。減税策と国債の増発計画の発表後には一時1ポンド=1.03ドル台まで下げ、対ドルで最安値を更新していた。

同財務相は3日、与党・保守党の党大会の演説で、市場の懸念を払拭するために中期財政計画を発表すると改めて表明した。この計画に「債務残高の国内総生産(GDP)比を中期的に低下させるための計画が記載される」と語った。「財政的な責任がなければ、持続可能な経済の高成長への道はない」とも訴えた。

もっとも減税策の撤回は一部にすぎず、市場の警戒感は続いている。株式市場では、代表的な株式指数の英FTSE100種総合株価指数は、発表前を下回っている。英2年債も、発表前と比べて高水準の利回りが続く。

日本経済新聞 2022年10月4日 4:10 (2022年10月4日 5:20更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR039XF0T01C22A0000000/