2022年10月4日 06時00分



◆アベノミクスに国葬…野党は徹底追及の構え

 所信表明を受け、5〜7日には衆参で代表質問が予定されている。野党は安倍氏など自民党議員と旧統一教会の関係や、国葬の費用や基準、賃上げを伴わない物価上昇で出口が見えないアベノミクスなどについて論戦を挑む見通しだ。
 いずれも安倍氏に絡む件ばかり。国葬の理由にもなった憲政史上最長の約8年8カ月の首相在任期間で積み重なった課題は、死後も重くのしかかっている。




◆少数派を排除、数の力で民主主義破壊

 問題の背景には、安倍政権下で進行した議会制民主主義の破壊がある。衆議院事務局の職員を務め、与野党を経験した元参院議員の平野貞夫氏は「少数派の意見にも耳を傾けながら合意形成するという、かつての自民党にあった鉄則が軽視された」と憤る。
 典型的だったのが2015年9月、国論を二分するなかで行われた安全保障関連法の強行採決。特定秘密保護法や「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法、働き方改革関連法、カジノ実施法など、国民の懸念が強い法案をことごとく数の力で通した。
 2大政党による政権交代が現実のものとなり、旧民主党政権を経た第2次安倍政権で少数派軽視が顕著になったと平野氏は指摘する。「多数決で過半数を取れば、何でもありになってしまった」。最たるものが、憲法53条に基づいて野党が求めた臨時国会召集を安倍・菅政権が相次いで拒否した問題だ。平野氏は「少数派の排除は権力の犯罪だ」と訴える。
 「佐藤栄作や田中角栄の時代、政府がむちゃしようとすると、事務方や元老的な議員が説得すればわかってもらえた。憲法にのっとって議論するという意味で基本的な思いは共有できていた。いまはそれがない」


2015年の衆院平和安全法制特別委で、野党の発言中に「早く質問しろよ」と声を上げる安倍首相(当時)
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◆118回の虚偽答弁、政治への信頼失う
https://www.tokyo-np.co.jp/article/206228/2