秋田大学に昨年4月、自殺予防総合研究センターが設置された。自殺をテーマにした専門機関が大学に設置されるのは全国で初めて。全国平均より高い自殺率を下げることはできるのか。見えてきた課題とは。

 「春から夏にかけて世界が広がっていく感じが好きとおっしゃっていました」

 「花火の話をしました」

 学生がまとめた報告書には、こんな高齢者との交流の中身が記されている。

 秋田大では2020年12月から、学生と高齢者がオンラインで週に数回、1回につき30分程度の交流を続けている。センター開設後も続く取り組みだ。

 「自殺の背景には孤独がある。『学生と話すことが生きがいになっている』というお年寄りもいる」

 25年ほど自殺対策に取り組む佐々木久長・副センター長は手応えを話す。

 県内の自殺率は1995年から19年連続で全国ワーストだった。その後、3年前にワーストを記録してからは、一昨年が下から10番目、昨年は8番目。改善の兆しはあるが、依然、全国平均を上回る状態が続く。

 自殺者の年代別をみると、県内は60歳以上が占める割合が多いという特徴がある。20年は全国が38・4%だったのに対し、県内は61・6%。高齢化が進むとはいえ、高齢者の自殺対策が急務になっている。

 現在、オンライン交流に参加するのは学生約15人と高齢者約8人。実際に、効果も出ているという。

 センターは、学生との交流に参加した高齢者に、抑うつ度を測定する心理テストを実施。参加前と比べると、一部の項目で明確な改善がみられているという。

 今後は、スマホでも気軽に参加してもらうほか、高齢者同士がつながる仕組みを考えたい、としている。

秋田で突出して多かった回答
 県内の自殺率が高いのはなぜなのか。

 佐々木さんたちは、自殺率が…(以下有料版で,残り555文字)

朝日新聞 2022年10月7日 10時53分
https://www.asahi.com/articles/ASQB66RD6QB4ULUC00S.html?iref=comtop_7_05