(ブルームバーグ): モルガン・スタンレー率いる銀行団は4月時点では、資産家イーロン・マスク氏によるツイッター買収のための資金支援に乗り気だった。だが今は、マスク氏も銀行団も状況変化を切り抜ける明白な方法を持ち合わせない。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)やバンク・オブ・アメリカ (BofA)、バークレイズを含む銀行団は、ツイッター買収支援のためのデットファイナンス約130億ドル(約1兆8880億円)規模にコミットした。ブルームバーグの試算によると、この債権が今売却された場合、銀行団は5億ドル以上の損失を抱えることになる。公開文書とこれらを調査した弁護士によれば、外部投資家への債権転売の可否にかかわらず、金融機関は買収資金支援で合意していた。

法律事務所モーゼス・シンガーのパートナー、ハワード・フィッシャー氏は「これらの銀行は手を引きたいだろう。合意内容の合理性は現段階で金融機関にとって後退し、債務を引き受けて投資家に転売するのも困難だと思う」と指摘。その上で、銀行団が合意を解消できる法的根拠はないとも付け加えた。

ジャンク債とレバレッジドローンの利回りは4月以降、大きく上昇した。このため、市場が現在受け入れる水準よりも低い利回りでの資金支援で合意していた金融機関は損失を抱えることになる。しかもインフレ抑制のたの世界的な金融引き締めを背景に、金融機関は今年これまで既に多額の評価損や損失に耐えてきた。そこに新たな痛みが加わることになる。

また、ツイッター買収に絡む債権を売却する相手が見つかったとしても、実際の売却は買収取引完了まで恐らく不可能だ。

ドイツ銀行の試算によると、金融機関が向こう数カ月の提供にコミットしているデットファイナンスの規模は合わせて500億ドル前後。通常なら支援に備えて債権を売却するものだが、投資家の購入意欲は現在、年初と比較して後退しており困難だ。このため、金融機関は買収案件で自ら資金提供を強いられており、業績や資本要件への重しとなる。

モルガン・スタンレーとBofA、バークレイズ、MUFG、ツイッターはいずれもコメントを控えた。マスク氏の代理人にもコメントを要請したが、これまでのところ返信はない。

10/8(土) 14:22配信
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