2022年10月08日

 北極圏にあるノルウェー領、スヴァールバル諸島はいくつか町があるのだが、人が定住する地としてはかなり北に位置している。

 これらの町は、非常に厳しい気候ながら、野生生物の宝庫であり、美しいオーロラが見られるため、多くの観光客が訪れ、他国からの移住者も少なくない。

 しかし、特殊な環境にあることから、移住者を困惑させてしまうような珍ルールがいくつか存在するのだ。




北極に近い極寒の居住地、スヴァールバル諸島

 ノルウェーよりもかなり北、北極近くに位置するスヴァールバル諸島には、その立地的メリットから、地球の危機に備えて、地球上に存在するありとあらゆる植物の種子を保存する為の「スヴァールバル世界種子貯蔵庫」や、あらゆる危機に耐えうる屈強なデジタルデータ保管所「アークティック・ワールド・アーカイブ」が存在することで知られている。

 スヴァールバルには民間人が定住する地としては地球最北に位置する「ニーオーレスン」や、最大人口が暮らす中心都市「ロングイェールビーン」などいくつかの町が存在するが、いずれも極寒の環境にあり、4月~8月は太陽が沈むことのない白夜になり、10月~2月は太陽が沈んだままである極夜となる。

 厳しい気候だが、ここには手つかずの大自然が残されており、ホッキョクグマやトナカイ、野鳥など、数多くの野生生物が生息している。

 また、オーロラが見られる場所でもあり、犬ぞりや氷の洞窟などのアトラクションも楽しめることから観光客にも人気だ。

 今年のDataReportalの統計によると、タイ、ロシア、スウェーデンを含む40か国以上の国から移住した推定2552人が、スヴァールバル諸島に暮らしており、人口のほとんどが外国人だ。

 そんな環境もあって、この島にはユニークなルールが存在する。

 通常、国や地域により独自の規則や法律があるものだが、この島では生活に慣れていない移住者を少々困惑させる可能性があるほどの珍ルールだ。




スバルーバル諸島の珍ルール

1. 猫の飼育が禁止
 スヴァールバル諸島の猫禁止令は、1990年代にノルウェー政府によって出された。

 当時は、猫が野生のキツネやネズミ経由で様々な感染病にかかってしまうからという理由だったようだが、現在は多種多様な野鳥を守るためという理由で禁じられているという。

 だが、例外があるようで、島には1匹だけ猫がいる。といかこの猫は公式には「猫じゃなくキツネ」ってことになっている。なのでOKなのだ。



2. 銃の所持は必須
 住宅地の外に出る場合、野生のホッキョクグマに遭遇する可能性がある。潜在的な攻撃を避けてクマを怖がらせるために、銃器を携帯する必要がある。そうだ。

 過去に、ロングイェールビーンのフィヨルドのキャンプ地で、女性がホッキョクグマに襲われて負傷したことがあった。

 同じくロングイェールビーン近くでキャンプをしていたオランダ人が、ホッキョクグマに攻撃されて死亡したりする事故が発生したという。そのホッキョクグマは、空港近くの駐車場で地元の人々に撃たれたそうだ。

 1970 年以来、少なくともホッキョクグマによる攻撃は、5回発生しているそうだ。




3. 島で勝手に死ぬのは違法
 厳しい気候と永久凍土のため、島で死んでも遺体が腐敗せず分解されないため島で死ぬのは違法となっている。死体の埋葬は島では許可されていない。

 遺体は火葬され、町にある納骨所に納められることもあるようだが、病院自体がニーズを満たすのに十分でないことから、持病もしくは末期の病の患者は、たいてい本土に移されるという。

 実際に島で死亡するケースは、非常に稀だそうだ。

 ちなみに1918年、小さな埋葬地に埋められていたノルウェー人の男性7人の遺体が、1998年に掘り出された。

 保存状態は非常に良く、80年経った後でも体にインフルエンザの痕跡が残っていたという。

https://karapaia.com/archives/52316581.html