2022年10月11日 20時04分

都心の大動脈、JR山手線で、11日午後から、乗客を乗せた営業列車で自動運転の実証運転が始まりました。踏切がある過密ダイヤの路線では初めてで、鉄道自動化の加速につながるか注目されます。

JR東日本は、人口減少などを背景にした将来的な運転士不足への懸念から、自動運転の開発に取り組んでいて、山手線では、4年前から終電後の深夜に、ことし2月以降は日中に、乗客を乗せずに走行試験を行ってきました。

そして11日から、山手線としては初めて乗客を乗せた営業列車で自動運転の実証運転を行うことになり、最初の列車が午後4時前に品川区の大崎駅を出発しました。


列車は、通常と同じ11両編成で、JR東日本が独自に開発したATO=自動列車運転装置が搭載され、車両の先頭などに「ATO」という文字が入っています。

運転士は各駅を出発する際にボタンを押すだけで、加速や減速、停車は自動で行われ、1周34.5キロの山手線を走行していました。

高架上を自動で走る東京の「ゆりかもめ」などの新交通システムと違い、山手線はホームドアのない駅や踏切が残り、人や車が線路内に入った際の対応が必要になります。

加えて、1日平均76万人が利用し、ラッシュ時には3分に1本という過密ダイヤで、こうした環境での自動運転の実証運転は国内では例がないということです。

JR東日本は、装置を搭載した2つの列車を今後2か月間で合わせて1000周ほど走行させ、運転機能や安全対策、それに省エネ性能などのデータを集めることにしています。

そのうえで▼2028年ごろの山手線のすべての列車への自動運転の導入を目指し、▼2030年ごろには運転士だけのワンマン運転を、▼将来的には運転士も乗らず、係員だけが乗務する運転も実現させたいとしていて、今回の実証運転は鉄道自動化の加速につながるか、試金石として注目されます。




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https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221011/k10013854991000.html