外国為替証拠金取引(FX)への投資をかたって現金をだまし取ったとして、警視庁は27日、職業不詳の男(26)=住所不定=を詐欺容疑で逮捕し、発表した。同庁は、男が投資家向けアプリの表示を改ざんして利益が出ているように信じ込ませる方法で現金を詐取するグループの一員とみている。このグループをめぐってはすでに11人が逮捕されている。

 捜査2課によると、男は昨年7月、架空の投資会社「オーシャンプロジェクト」の社員を名乗り、神奈川県の40代男性に電話。「月利は10~15%」などとうそをつき、FX投資名目で約500万円を詐取した疑いがある。同課は認否を明らかにしていない。

 被害に遭った男性はグループの指示通りに運用状況がわかるアプリをインストールした上で、インド洋の島国・セーシェルに所在すると説明された証券会社に口座を開設。今回の逮捕容疑になった約500万円を含め3回にわたり計約1500万円を入金したところ、アプリ上では預けた資金が約2500万円まで上がった。しかし、警察からの連絡で被害に気づき、グループ側に全額の返金を求めると十数万円に「暴落」したという。

 同課は、この暴落はグループがアプリを意図的に操作して引き起こしたもので、資金を返さない口実にしたとみている。同様の方法で、少なくとも約50人に約1億5千万円の被害が確認されているという。

 捜査関係者によると、グループ内のSNSを解析したところ、暴落の前に「バルスお願いします」とのメッセージが残されていた。「バルス」はアニメ映画「天空の城ラピュタ」で、主人公たちが滅びの呪文として唱えるせりふ。暴落を意味する隠語として使われていたとみられるという。(高嶋将之)

朝日新聞デジタル
2022年10月27日 18時30分
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