平塚市土屋地区にある「神奈川大学湘南ひらつかキャンパス」の学部移転に伴う施設・土地の売却計画を巡り、同大学は26日、近隣住民らを対象とした説明会を開いた。売却先は決定しておらず、今後の重大懸案となりそうだ。少子化が加速する中で同大学が生き残りを懸けた経営判断を下した一方、地域のシンボルとして30年余歩んできた公共性の高い教育機関が撤退することに、地域では不安が広がっている。

同大学の経営学部は2021年4月、新設されたみなとみらいキャンパス(横浜市西区)に湘南ひらつかキャンパスから移転。理学部も23年4月には横浜キャンパス(同市神奈川区)に移る予定となっている。

学部移転とともに同キャンパスの売却が決まったのは、今年7月14日の同大学理事会。08年に「神奈川大学将来構想」が策定され、新学部設立の検討に伴い新たなキャンパス計画が16年に浮上した。都市部の横浜市にキャンパスを集約する流れの中で、年間1億数千万円~2億円の維持費が必要とされる湘南ひらつかキャンパスの負担増を見込んで売却に踏み切った。

26日夜、同キャンパスには土屋地区の自治会、公民館、学校関係者など30人を超える住民が集まり、神妙な面持ちで説明に耳を傾けた。同大学は「加速する少子化で学校を取り巻く環境が厳しくなっている。生き残りを懸けた動きが各大学で活発化している」と説明。郊外に進出している各大学が学生獲得のため都市部に戻る都心回帰が進んでいることも明かした。

神奈川新聞2022年10月27日(木) 23:20
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