11/4(金) 18:41

 新型コロナワクチン接種に伴う健康被害の申請が大幅に増えていることに関連して、加藤勝信厚労相が審査が終了したのは受理件数の約25%にとどまり、迅速化が必要との認識を示した。11月2日、衆議院厚生労働委員会で阿部知子議員(立憲民主党)の質問に対して答弁した。

(中略)

 このリーフレットの問題点は筆者が今年2月の検証記事で指摘したほか、調査報道などに取り組む非営利メディア「InFact」もファクトチェック記事でミスリードと検証していた。

 リーフレットは8月に第2版に更新され、問題が指摘されたグラフは削除された。新たに掲載されたグラフは、10代男性の心筋炎の報告頻度(モデルナ)が100万人あたり150人超であることが示されている(元データの資料は8月5日公表)。第1版では28.8人と記されており、かなり過小評価されていたことがわかる。

 一方、厚労省のQ&Aサイトでは、現在も「ワクチン接種後に心筋炎や心不全が疑われた報告の頻度やその重症度、突然死の報告頻度よりも、新型コロナウイルスに感染した場合のそれらの発症頻度は高く、重症です」と説明している。

 しかし、先ほどの委員会で、厚労省健康局長は、リーフレットのグラフで入院患者を母数にした報告頻度を掲載した問題について「感染後に心筋炎・心膜炎を発症した人を把握することが困難だったため」と答弁していた。いまも「感染した場合」の発症頻度のデータを持っていない可能性が高い。

 したがって、Q&Aサイトの説明も依然としてミスリードの疑いが残る。
https://news.yahoo.co.jp/byline/yanaihitofumi/20221104-00322567

楊井人文
弁護士
慶應義塾大学総合政策学部卒業後、産経新聞記者を経て、2008年、弁護士登録。2012年、一般社団法人日本報道検証機構を設立し、マスコミ誤報検証・報道被害救済サイトGoHooを運営(~2019年)。2017年6月、ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)発起人。2019年10月~2021年2月までインファクト(InFact)のファクトチェック担当編集長。2018年4月、共著『ファクトチェックとは何か』を出版(尾崎行雄記念財団ブックオブイヤー受賞)。現在、FIJ事務局長、日本公共利益研究所主任研究員、早稲田大学次世代ジャーナリズム・メディア研究所招聘研究員。