神戸新聞2022/11/7 21:20
https://www.kobe-np.co.jp/news/hanshin/202211/0015788965.shtml

 兵庫県教育委員会は7日、西宮市津門大塚町のアサヒビール西宮工場跡地から、古墳時代の円墳2基と方墳6基の古墳群が見つかったと発表した。最も大きい円墳1基は周濠を含めた直径が約30メートルあり、祭祀を行う「造り出し」という場所が設けられていた。市内最大級の円墳で、当時の首長クラスの人物が葬られていたとみられる。

 発掘調査は、工場跡地に県立西宮総合医療センター(仮称)を建設するのに伴い、6月下旬から敷地内の3区画(約6500平方メートル)で行っている。地中に埋もれた「埋没古墳」が見つかるのは市内で初めて。

 小さい方の円墳は古墳時代の前期、ほか7基は後期の6世紀ごろ築造されたとみられる。墳丘は失われていたが、周濠から多くの埴輪や須恵器、殉葬とみられる牛や馬の骨が出土した。

 県教委によると、古墳時代後期の方墳は珍しい。この頃、大和王権の直接支配を受けていた人物は横穴式石室のある円墳に葬られた例が多いため、担当者は「方墳6基は首長に従っていた有力者たちの墓ではないか」としている。

 氾濫を繰り返した武庫川の付近は遺跡の空白地だったため、県教委は「当時の阪神間の状況を明らかにする貴重な史料」としている。一般向けの現地説明会が13日午前10時~正午と午後1~3時にある。一般用の駐車場はない。