群馬労働局は、二〇二一年度に県内の六百十二事業所で長時間労働などの法令違反が確認されたと発表した。このうち、違法な時間外労働があったのは二百三十七事業所で、「過労死ライン」とされる月八十時間を超える残業が九十一事業所に上った。月二百時間を超えたケースも二事業所であった。
 同局では、長時間労働が疑われる七百八十五事業所を監督指導し、その結果として公表した。違法事業所の割合は78・0%だった。
 違法な時間外労働があった事業所の業種別では、製造業(六十六事業所)、商業(六十二事業所)、運輸交通業(二十四事業所)が上位だった。ほかの法令違反は賃金不払い残業が七十三事業所、過重労働による健康障害防止措置の未実施が百二十六事業所であった。
 群馬労働局は「コロナ下でも企業活動が通常に戻りつつある中、人手不足の状況は続いており、現状の人員に業務が集中する傾向がある」と分析している。
 十一月は厚生労働省が定める「過労死等防止啓発月間」。県内では対策推進を目的としたシンポジウムを二十一日午後一時半から、高崎市のコンベンション施設・Gメッセ群馬で開く。「働く人のメンタルヘルス」と題して、横浜労災病院の山本晴義勤労者メンタルヘルスセンター長が基調講演する。参加は無料で事前申し込みが必要。ウェブで「過労死等防止対策推進シンポジウム」と検索し、特設ページから県の会場を選んで申し込む。(羽物一隆)

東京新聞 2022年11月9日 07時33分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/212860