バイデン米大統領と中国の習近平国家主席は14日、インドネシア・バリ島で約3時間にわたり会談した。台湾海峡をめぐる軍事的な緊張が高まる中で、バイデン氏は互いの「レッドライン(越えてはならない一線)」を探り、大国間競争の管理を図った。米政府の発表によると、両氏は衝突を回避するために、それぞれの高官に権限を与え、意思疎通を維持することで一致した。

 対面による米中首脳会談は、バイデン氏の大統領就任(2021年1月)以降で初めて。両氏は15~16日に開催される主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に合わせバリを訪問している。習氏にとっては、10月の共産党大会後に3期目の新指導部を発足させて以降、初の外遊となった。

 米政府の発表によると、バイデン氏は「(米中間の競争が)紛争に発展してはならない」と繰り返し強調。気候変動や食糧安全保障などグローバルな課題で米中が協力して取り組む必要性を訴えた。両氏は両政府による作業部会を含め、米中間の問題に対処する努力を引き続き行うことで合意した。ブリンケン米国務長官が中国を訪問し、首脳会談での議題を引き続き中国側と協議する。

 米中の最大の懸案は台湾問題だ。ペロシ米下院議長による8月初旬の訪台に、台湾を領土の一部とみなす中国は猛反発。台湾周辺での軍事活動を恒常化させている。

 バイデン氏は会談で「中国が台湾に対して攻撃的な行動をとっており、地域の平和と安定を損なっている」と懸念を伝えた。一方で、台湾を領土とみなす中国の立場に異を唱えない「一つの中国」政策を堅持することも改めて強調した。習氏は「台湾問題は、中米関係において、越えてはならない最初のレッドラインだ」と強く反発した。台湾を「核心的利益」と位置付ける中国にとって譲歩する余地はなく、米中の溝が埋まる見通しは立っていない。

 バイデン氏は中間選挙で与党・民主党が上院の多数派維持を確実にし、より強い立場で臨めると会談前に自信を示していた。米政府高官は「米中関係のこれ以上の悪化を防ぐ『底固め』が目的だ」と説明しており共同声明などは作成されなかった。バイデン氏は会談で「我々には、米中が意見の違いを管理して衝突を避け、世界規模の課題に対して協力して対処する方法を見つけ出す責任がある」と強調した。

 中国も衝突回避のための意思疎通は重要という認識だ。習氏は会談で「我々は二つの大国の指導者として両国関係の発展の正しい方向性を見いだし、押し上げていかなければならない」と応じた。(以下ソースで)

毎日新聞 2022/11/14 23:04(最終更新 11/14 23:34)
https://mainichi.jp/articles/20221114/k00/00m/030/298000c