https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221115/k10013892041000.html
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2022年11月15日 21時05分
旧統一教会の信者の2世から「教義に基づいて養子縁組をされ、悩んでいる」という相談が支援活動を行っている弁護士に複数寄せられていることがわかりました。

専門家は教団が行った養子縁組に法的な問題がある疑いもあるとして、行政が調査を進めるべきだと指摘しています。

旧統一教会をめぐっては、元信者やその家族から高額の献金や、望まない信仰の強制などの被害を訴える声が上がっています。

こうした中、旧統一教会の信者の2世から支援活動を行っている弁護士に「教義に基づいて信者の家庭どうしで養子縁組をされ、悩んでいる」という相談が複数寄せられ、弁護士が調査を始めたということです。

「教義のために利用された」養子に出された元信者の訴え

旧統一教会の信者の家庭間で養子として引き取られた元信者の20代の女性、「ようじよ」さん(仮名)がNHKの取材に応じました。

合同結婚式で結ばれた両親のもと「ようじよ」さんは、4人きょうだいの2人目として生まれましたが、生後まもなく別の信者家庭に養子に出されました。

そのことを4歳のときに知ったという「ようじよ」さんは、いきさつについて養母などから聞いたことがあるといい「なぜか私だけ本当の家族から離れて養子に出されました。育ての親に子どもができなかったので、養子がほしいと相談したときに生みの親がたまたま私を妊娠していて『じゃあこの子を』という流れだったと聞きました」と話しました。

そのうえで「教義のために利用されたというか私はいったい誰なんだろう。何のために生きているのかと考えてしまう」と述べ、自分の存在に苦悩した末に、3年前に命を絶とうとしたことを明かしました。

「ようじよ」さんは「養子縁組の制度そのものは子どものできないご夫婦もいるのですばらしい制度だと思う。ただ宗教の教義のために子どもの1人の命をやり取りするのであれば、間違っていると思う。別の人生があったという思いがあります」と話していました。

「妹2人が別の信者の家庭の養子に出された」2世の元信者の告白

「小川さゆり」の名前で被害を訴えている2世の元信者の女性は、妹2人が別の信者の家庭に養子に出されたことをNHKの取材に初めて明かしました。

小川さんは6人きょうだいのうち3番目の長女ですが、妹2人は生後まもなく別の信者の家庭に養子に出され、4人きょうだいとして育ったといいます。

妹が養子に出された経緯については、「産む前に養子に出すことは決まっていて、母が妊娠した時点で教会の上の立場の人から『子どもに恵まれない信者の家庭があるから、子どもをあげられませんか』と相談があったと聞きました」と証言しました。

旧統一教会の教義に基づく養子縁組とは

旧統一教会の教義では、子を産み増やすことは神の創造目的だとされていて、信者向けの動画や出版物の中では「養子縁組」について説明しています。

信仰生活の指針を示したハンドブックには、「養子の約束を交わすのは、捧げる側の妊娠前が最も望ましい」と養子に出すことを前提にした妊娠を推奨する記載もありました。

また「両家で合意がなされたら、必ず家庭教育局に報告が必要」などと、養子縁組に教団が関わっていることをうかがわせる内容も記されています。

さらに旧統一教会のSNSには、養子を3人以上出した信者の家庭が表彰されたという内容も書かれていました。

また「両家で合意がなされたら、必ず家庭教育局に報告が必要」などと、養子縁組に教団が関わっていることをうかがわせる内容も記されています。

さらに旧統一教会のSNSには、養子を3人以上出した信者の家庭が表彰されたという内容も書かれていました。

厚生労働省は「許可を受けずに、第三者として養子縁組の世話を反復継続的に行っていれば、あっせん法に違反する。その疑いがある場合、事実確認と行政指導を行っていくべきと考えらえる」とコメントしています。

「世界平和統一家庭連合」旧統一教会は

「世界平和統一家庭連合」旧統一教会は、これまでに745人の養子縁組が行われたと明らかにしたうえで「養子縁組は、養子を捧げる家庭と養子を受け入れる家庭同士が密接に交流しながら、養子となる二世の幸せを願って進められるものであり『親の信仰のための養子』といったご指摘は事実に反します」としています。