農民連・農民連ふるさとネットワークはは国産米を大幅に上回る価格でミニマム・アクセス(МA)米が落札されており、「一体、どこの国の政府なのか」と批判し、МA米輸入を中止すべきだと強調している。

農民連によると、9月16日のМA一般米入札のアメリカ産うるち精米中粒種の契約価格は1t当たり25万4000円と公表された。60㎏では1万6764円で国産米の価格水準を大幅に上回った。

21年産の全銘柄平均価格は1万1884円(税抜き)でアメリカ産は国産米の1.4倍になる。さらに暴落した千葉「ふさこがね」は9445円、青森「まっしぐら」は9969円でアメリカ産は約2倍となっている。新潟コシヒカリの1万4425円よりも高い。

22年9月16日МA 米入札結果と21年産国産米価格の比較

9月30日には2022年度第1回のSBS(売買同時入札)方式の入札が行われたが、アメリカ産中粒種の落札はゼロだった。SBS入札は主食用として外食産業などに利用されることが多いとされているが、国産米が安いため輸入米の需要が落ちていることが落札結果でも示された。

しかし、一般米輸入では高値で輸入された。農民連は「アメリカ中粒種を何がなんでも輸入するために異常な予定価格を設定して商社に調達させたものと思わざるを得ない」と指摘する。

МA一般米はもちろん主食用に売ることはできないため、販売されるときは飼料用がほとんどで77万tのうち8割以上が1t2万円で販売されている。農水省も1トン8万円の輸入米を50万t飼料用として販売すれば300億円の差損が出ることを資料で説明している。

農民連が明らかにしたは今回の落札価格1トン25万円のアメリカ産米を、かりに30万t飼料用に売ると700億円の赤字になる。

2021年度のМA一般米の買い入れ額は総額で800億円と過去最高で「漫然と輸入し続ければさらに赤字が膨らむ」と農民連は批判。

そのうえで国内の米生産者には、過剰は自己責任だと低米価と生産調整を押しつける一方、新潟コシヒカリよりもアメリカ米を買い支えて、販売したときの差額は国民の税金でまかなうという構図だと指摘、「一体、どこの国の政府なのか、どこまで農家と国民を馬鹿にするのか」とМA米輸入中止を求めている。

基本法の見直しにあたっても国内農業を弱体化につながるような輸入制度の見直しも論点となる。
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