東京都港区が2020年2月~22年1月の間、二つの区立保育園の職員58人に対し、残業代計約2875万円を支払っていなかったことが、区への取材で分かった。区は三田労働基準監督署から2月に改善指導を受け、先月に全額を職員に支払った。
 区人事課によると、未払いがあったのは青山保育園と白金保育園の園長と保育士、看護師。区の職員組合と区側が労使協定(36協定)を結び、残業をさせる上限を原則月40時間、例外的な場合でも月80時間と定めていた。未払い額の多かった保育士の1人は、残業時間は上限に近い月78時間、月18万9000円分だった。
 三田労基署の指導では、職員が残業を事前申請するために入力した専用システム上の残業時間が、実際の出退勤時に打刻するタイムレコーダーの時間より短いと指摘。システムには、レコーダーの記録も自動で反映されるために入力した残業時間との差も表示されるが、園長ら管理者が把握していなかったという。
 今後残り13区立保育園の職員の残業時間も調査する。
 公務労働に詳しい岡田俊宏弁護士は「公務員の場合は予算の上限があるため、強制・自主的を問わずサービス残業が多い。残業代未払いの自治体は他にも多いと思う」と背景を説明した。(畑間香織)

東京新聞 2022年11月23日 06時00分
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