電化されていない路線を走るディーゼル気動車「キハ58系」で、最後の現役車両である「キハ28形―2346」が27日、老朽化のため、千葉県のいすみ鉄道で定期運行を終える。引退を惜しむ声が上がる中、同社はクラウドファンディング(CF)で車両の保存費用を募っている。

 いすみ鉄道は、大原駅(いすみ市)と上総中野駅(大多喜町)間の26・8キロを結ぶ。JR東日本から旧木原線を引き継ぐ形で、1988年に第3セクターとして営業を開始した。

 キハ58系は旧国鉄時代の61年に急行用として製造が始まり、約1800両が全国で活躍。「キハ28形―2346」は64年に製造され、山陰や北陸を走った。うち1両がJR西日本から2012年にいすみ鉄道に譲渡され、約9年8か月間、土日祝日の急行やレストラン列車として使われた。

 だが、老朽化が激しく、運転席の塗装ははげ、乗客の座席の色あせも目立つ。

 来年2月には車検に当たる全般検査が迫るが、機器の交換や修繕が必要で、同社の年間運賃収入の約6000万円を大きく上回る約1億円の費用がかかる。古竹孝一社長(51)は「運行を続けたいが、資金面を考えると難しい」と話す。高崎浩運転士(62)は「スピードも出ず、運転も難しかったが、頼りになる車両だった。もう少し運転したかった」と引退を寂しがる。

 最終日の27日には、国吉駅(いすみ市)と大多喜駅(大多喜町)でお別れイベントを開く。引退車両は国吉駅での展示や3Dデータ化を計画しており、費用280万円をCFで集めている。古竹社長は「多くの人の力を借り、良い形で残せたら」と話している。

11/23(水) 20:04配信 読売新聞オンライン
https://news.yahoo.co.jp/articles/3cd221aa78a813f938c4059b981a9c07a078192a
田園地帯を走る「キハ28形―2346」(いすみ鉄道提供)
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