「遺体なき殺人」初公判、検察側は「解体し魚のアラとともに焼却」主張
2022/11/30 06:52
https://www.yomiuri.co.jp/national/20221129-OYT1T50190/

 埼玉県川口市で2016年3月、娘の元交際相手の男性に暴行を加えて殺害したとして殺人罪に問われた上尾市柏座、無職島田一治被告(55)の裁判員裁判の初公判が29日、さいたま地裁(中桐圭一裁判長)であった。島田被告は罪状認否で暴行を認める一方、「殺人は行っておりません」と否認した。男性の遺体は見つかっておらず、検察側が殺害行為をどう立証するかが公判の焦点となる。

 起訴状などでは、島田被告は仲間の男と共謀し16年3月18日頃、男が経営していた飲食店の従業員だった伊藤竜成さん(当時24歳)に殴る蹴るの暴行を加えた上、首を踏みつけ殺害したとしている。仲間の男は昨年10月28日、川口署で勾留中に自殺した。

 遺体はなく死因は不詳だが、検察側は初公判での証拠調べで、これまでの捜査を基に遺体をどう処理したかに言及した。島田被告らは別の仲間と大型冷凍庫に遺体を入れた後、さいたま市内で被告が経営する冷凍マグロの卸売会社(廃業)に運んで解体。16年10月3日に魚のアラとともに焼却したと説明した。

 当時、島田被告は指定暴力団六代目山口組系組員だった。検察側は冒頭陳述で、娘との交際が終わった後も伊藤さんが娘名義の携帯電話を使っていたことに腹を立てて暴行したと指摘。暴行が露呈しないよう殺害に及んだとし、「残虐で無慈悲な犯行」と非難した。

 弁護側は「(殺害現場にいた人物の)証言が異なっており、殺人の立証は不十分だ」と訴えた。