幼児30人に保育士1人――。1948年以降、70年以上にわたり一度も変わっていない国の配置基準が、来年度も見直されることなく続けられようとしている。「子どもの命と安全を守れない」と、保育現場が長年改善を求めてきたにもかかわらず、なぜ問題は解消されないのか。

 「来春にはこども家庭庁ができる。送迎バスの置き去り事故もあり、世論は保育士の手厚い配置を求めている。配置基準の問題は前進させなければならない」

 来年度予算の折衝が始まった今秋、内閣府の担当者は、財務当局にこう強く訴えた。

 9月には静岡県にある認定こども園の送迎バスに3歳の園児が置き去りにされて亡くなった。保育現場の人手不足への関心は高まり、国会や与党内からも基準の見直しを求める声があがった。

 岸田文雄首相も子ども政策予算の「将来的な倍増」を表明。内閣府の担当者は基準を見直す絶好のタイミングだと考えた。

 だが、年末が近づく今も、見直しに向けた動きは見えない。

 なぜ進まないのか。

「財源がない」の一言に尽きる
 自民党の厚労族と呼ばれる議…(以下有料版で,残り1530文字)

朝日新聞 2022年12月1日 18時00分
https://www.asahi.com/articles/ASQD10RC0QCZUTFL01W.html