※現代ビジネス
2022.12.03
からだとこころ編集部

ネット依存やゲーム依存が問題になりはじめたのは、2010年代はじめのことでしたが、その後も事態はますます深刻化しています。2018年、WHOが「ゲーム障害」として認定し、国際疾病分類11版(ICD-11)にも収載することを決めました。

当初は、10~20代の子どもや若者の依存として認識されていましたが、スマホの普及とともに、最近では30~40代の患者が増加してきているといいます。

2011年、ネット依存・ゲーム依存の問題の深刻さに気づき、専門外来を開設し、WHOが認定した「ゲーム障害」の診断ガイドライン作成でも中心的な役割を担ってきた独立行政法人国立久里浜医療センター。今回は院長の樋口進先生が監修された『ネット依存・ゲーム依存がよくわかる本』から、ネット依存・ゲーム依存の最新動向とともに、どういう病気なのか、医療機関を受診するタイミングなどを紹介します。

Eさんの場合──気づいたら"はまって"いた
「ちょっと、何よこれ!」

数日前のことである。ようやく1日の仕事を終えて帰宅したEさん(仮名)は、自宅のマンションの扉をあけるなり、奥さんの激しい言葉に迎えられました。奥さんがEさんの前に突き出した手には、カード会社からの引き落とし明細が何枚もぶら下がっています。その額、数百万円。

「えっ?」Eさんは我が目を疑いました。

40代のEさんは、IT関係のシステム構築の仕事をしています。日頃は、小遣いも限られている会社員の我が身を重々承知して、ランチ代100円の差にもシビアになる“しっかり屋”でした。ギャンブルはもちろん、高額な費用がかかる趣味などに手を出すようなことは、まったくありません。

そんなEさんにとって、スマホで見つけたゲームアプリは、無料でダウンロードできるので、お金もかからず、ちょうどよい娯楽のはずでした。

はじめは、会社の行き帰りや、お昼休みのすきま時間でゲームを楽しんでいました。仕事中は、IT関係のシステムを構築したり、現場に出て指示を出したりと忙しく、ゲームをしている時間はありませんでした。

そんな忙しい日々の中で、なんとか効率よくゲームを進められないか──そこで、ゲーム上のアイテムに数百円の課金をして、効率よくゲームを進めることにしたのです。

自己破産並みの課金請求!
「時間を買ったと思えば、そう高い買い物でもないさ」

はじめは、そう思っていました。しかし、さすがに課金して手に入れたキャラは違います。どんどんゲームが進展しました。

「もう少し」「ここも」

時間を買うという感覚ではじめたEさんの課金は、効率を求めるあまりどんどん増えていきました。当初は、自分の小遣いの範囲で課金していましたが、すぐに足りなくなり、いつの間にかカードローンを利用していたのです。

そして、その額、1年間に数百万円。妻に激しく問いつめられたのは、その引き落とし明細が見つかったためだったのです。

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