羽賀和紀2022年12月3日 8時34分

 押すと前後にゴトゴトと揺れるのに、斜面から落ちない――。毎年多くの受験生が験担ぎに訪れる高知市の山奥にある「聖地」が、何者かに細工され、押しても動かなくなった。周辺にジャッキなどの工具が落ちており、高知県警は悪質ないたずらとみて調べている。

 ゴトゴト石は、高知市中心部から車で約40分の土佐山桑尾地区にある。高さ2メートルほどの大岩が、切り立った崖の角に絶妙なバランスで乗っていて、軽く押すだけで音を立てて前後に揺れる。しかし、力いっぱい押しても決して落ちることはなかった。

 市によると、11月28日、前日に現地を訪れたという男性から「ゴトゴト石が動かない」と通報があった。職員が確認したところ、石が90度ほど水平方向に回転し、崖と反対側に押されていた。周辺には工具や軍手が散乱し、市は「岩を押し上げながら地面との間に丸太を差し込んで落とそうとした」とみている。警察も現地を確認したという。

 地元では半世紀ほど前から毎年しめ縄を岩にかけるなどして大事にしてきた。地区長の佐藤嘉一(よしかず)さん(69)は「腹立たしい。受験生などの心のよりどころでもあるので、専門家と相談して復旧したい」と話している。(羽賀和紀)

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