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12/7(水) 22:55
毎日新聞

 大麻密売グループに捜査情報を漏らす見返りに現金5万円を受け取ったとして、大阪府警は7日、徳島県藍住町議会の副議長、平石賢治容疑者(45)=藍住町奥野=と知人で町住民課職員だった阿部さやか容疑者(39)=徳島県北島町=を加重収賄と地方公務員法(守秘義務)違反の疑いで逮捕したと発表した。逮捕は5日付。

 捜査当局の動きが自治体を通じて筒抜けになっていたとされ、密売グループは情報入手後に大麻の栽培拠点を移していたことが判明した。府警は副議長と町職員が共謀した漏えい行為が証拠隠滅につながった恐れもあるとみて、実態解明を進める方針だ。

 府警は7日、密売グループの主導役で韓国籍の金太士容疑者(52)=住所不定=も贈賄と地公法違反(そそのかし)の疑いで逮捕した。3人の認否は明らかにされていない。

 府警によると、大阪、徳島両府県警や近畿厚生局麻薬取締部は、金容疑者を含めて計15人を大麻取締法違反(営利目的共同所持)容疑などで逮捕した。密売グループは関東地方から大麻を入手していたほか、自ら栽培にも関与。大阪府内の民泊施設の一室などで保管し、四国の密売人らに売りさばいていたとされる。

 捜査当局は薬物事件の捜査過程で、密売グループに関連する男性の戸籍情報の提出を求める「捜査関係事項照会書」を作成。藍住町役場に郵送した。阿部容疑者は町住民課で郵便物を確認する担当だった。

 平石副議長と阿部容疑者は共謀して2021年9〜10月、男性に関して照会があったことを金容疑者に漏えい。その謝礼として現金5万円を受け取った疑いが持たれている。平石副議長らは12月にも捜査当局の再照会を漏らしていたという。

 府警捜査2課によると、3人は以前から面識があった。平石副議長は21年6月下旬、金容疑者から男性の氏名を告げられ、「照会があったら教えてほしい」と頼まれた。実際に捜査当局から照会があり、阿部容疑者が平石副議長に伝えたという。阿部容疑者は22年10月末に退職していた。

 警察や検察は刑事訴訟法に基づき「捜査関係事項照会書」を作成すれば、捜査に必要な個人情報について自治体や企業に提出を求めることができる。関係者によると、自治体は戸籍や住民票、土地の所有情報の提供を要請されることが多く、秘密保持も求められる。

 平石副議長は08年に初当選し、現在4期目。20年3月から町議会(定数16)で副議長を務めている。平石副議長は逮捕直前の3日、毎日新聞の取材に「体調が悪くて話せない。今度にしてほしい」と答えていた。