※北海道新聞

モモンガ営巣の樹木伐採 議論物別れのまま 帯広・緑ケ丘公園
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/772913/

12/10 01:20 更新

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帯広市は7~9日、倒木の恐れがあるとして、緑ケ丘公園の樹木を22本伐採した。同公園はエゾモモンガの撮影スポットとして道内外の観光客から人気だが、営巣するシラカバなど4本も対象となった。「倒木の恐れがあり、放置できない」と説明する市に対し、十勝の自然愛好家は「生息環境が狭まる」と懸念し、野生動物の専門家の意見を聴いた上で判断するよう求めている。

■市「倒木の恐れ」、自然愛好家「生息環境狭まる」

 エゾモモンガは国内では道内のみに生息し、樹洞と呼ばれる木の穴に巣を作り、一生のほとんどを樹上で過ごす。

 市は7日から、倒木の恐れがある22本の伐採を始めた。8日はモモンガが出入りしたり、子育て用の巣穴が確認されていた4本で実施。業者が樹木を外側から工具でたたき、樹洞に動物がいないかチェックして作業した。自然愛好家によると、4本はゴジュウカラなどの野鳥やコウモリ、エゾリスも子育てなどで利用していたという。

 エゾモモンガへの影響については、市が伐採に先立つ11月中旬に影響を調査。通常20~30メートルとされる滑空距離に複数の樹木があるため、伐採前と同じように公園の内外を移動できると判断したと説明する。みどりの課の楽山勝則課長は「動物を愛する気持ちは尊重するが、不特定多数が利用するという公園の性質上、危険な木は残しておけない」と強調する。

 一方、十勝管内の自然愛好家らは野生動物への配慮が足りないと指摘する。11月下旬、市に対し「根本からの伐採ではなく、上部を残して様子を見てはどうか」と提案したが、市側からは「倒木の危険性は残る」との回答で、議論は物別れに終わった。

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