【ニューヨーク=竹内弘文】米ニューヨーク州南部地区の連邦地検は13日、経営破綻した暗号資産(仮想通貨)交換業大手FTXトレーディングの創業者で前の最高経営責任者(CEO)であるサム・バンクマン・フリード容疑者について、詐欺や資金洗浄の疑いなど8つの罪で起訴したと発表した。2019年のFTX創業当初から顧客を欺いていた可能性がある。

日本の民事再生法に相当する米連邦破産法11条(チャプター11)の適用を11月11日に申請する直前まで、FTXは100万人程度の利用者を抱えて世界で有数の取引量を誇る仮想通貨の交換所だった。関連する投資会社アラメダ・リサーチの損失穴埋めにFTX顧客の資産が流用され、資金不足に陥ったのが破綻の引き金となった。

バンクマン・フリード容疑者はFTX破綻後、米メディアの取材に対しアラメダの損失を埋めるために「FTX資産を流用していたとは知らなかった」と主張していた。起訴状は、同容疑者が意図的に顧客資産の流用を第三者と共謀した疑いがあると指摘した。

カリブ海の島国、バハマの司法当局は12日、米当局の要請にもとづいてバンクマン・フリード容疑者を逮捕した。同容疑者は経営破綻の後もFTXの本拠地があるバハマに居住していた。米側に身柄が引き渡される見通しだ。

連邦地検の訴追とは別に、米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)も13日、それぞれバンクマン・フリード容疑者に対する提訴を発表した。SECはFTXが虚偽の説明をもとに米国の投資家から資金を詐取したと主張した。

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