介護保険制度の「給付と負担」の見直しをめぐる報告書が19日、大筋でとりまとめられました。ケアプラン(介護サービスの計画)の有料化などは見送り、サービス利用料の負担割合を「2割」とする人の対象拡大といった項目の結論は来夏まで持ち越しに。一方、高齢化で介護が必要な人が増えるなか、65歳以上が支払う介護保険料(全国平均)は制度創設時の2倍以上となるなど、制度の持続可能性も問われています。今回の議論や今後の制度のあり方についてどう考えればいいのでしょうか。淑徳大の結城康博教授(社会福祉学)に聞きました。

「遅くとも来夏までに結論」 介護の利用者負担「2割」の対象拡大
 ――今回は実施が見送られることになりましたが、ケアプランの有料化や、比較的軽度とされる要介護1と2の人のサービスの一部を保険給付から外して市町村の事業に移すといった項目が検討されました。議論をどうみていましたか。

 「いずれも、これまでの改正時も検討されながら見送りになってきた項目です。7月の参院選後は『黄金の3年』といわれ改革が実行しやすかったはずですが、現在の政治情勢を考えると、決められなかったのでしょう」

 「例えばケアプランの有料化となれば、ある程度の財政効果が期待されます。財政制度等審議会(財務相の諮問機関)でも指摘されてきた事項です。ただ、こうした負担増を強いることは中長期的にみるとかえって介護にかかる給付費が増えるおそれがあり、私は実施には反対でした」

「2割負担」対象拡大したらどうなる?
 ――なぜ給付費が増えるのでしょうか。

 「例えばケアプランの有料化や利用料の自己負担が2割になったとしたら、費用を抑えようと自分でケアプランを考えたり、デイサービスに通う頻度を減らしたりといった『利用控え』が起こる可能性があります。そうすると適切な介護サービスがうけられず、かえって要介護度があがりやすくなり、給付が増えてしまうと考えられるからです」

 ――サービスの利用料の自己負担を2割とする人の対象拡大などは、来年以降も議論が続く見込みです。

 「現在の『2割負担』は、単…(以下有料版で,残り1009文字)

朝日新聞 2022年12月20日 6時00分
https://www.asahi.com/articles/ASQDM6HKKQDJUTFL00S.html?iref=comtop_7_05