2022年12月20日 6時0分スポーツ報知 # 社会

 スポーツ報知では今年一年を振り返る年末企画「激動 2022」をスタートする。初回は、銃撃に倒れた安倍晋三元首相(享年67)に対する追悼演説を行った立憲民主党・野田佳彦元首相(65)の単独インタビュー。10月7日に要請を受けてから、与野党から称賛の声が上がった25日の追悼演説を迎えるまでの苦悩の日々を振り返りつつ、同期当選の安倍氏への思いを語った。(坂口 愛澄)

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 追悼演説の要請に関する連絡を受けたのは、10月6日。岸田文雄首相から「ご遺族のご意向と自民党の総意という形で追悼演説をお願いしたい。明日正式に要請させていただく」と電話をもらった。

 「様々な名前が出ては消え、これ以上人選が先延ばしになるのはよくないと思いました。お断りできる状況ではないということは分かりましたけれど、考えを整理すればするほど難しいなと感じましたね」

 9月27日の国葬で「追悼の辞」を友人代表として述べた菅義偉前首相らとは安倍氏との関係性が全く違う。どのように原稿を構成したのだろうか。

 「同じ党でもないし、限られたエピソードしかない。前内閣総理大臣から見た安倍さんを思い返してみました。あのような形で安倍さんを失った遺族を言葉で傷つけることはしたくなかったので、何度も推こうを重ねました」

 「再び真剣勝負を戦いたかった」などの名フレーズに胸を打たれた国民も多い。実は、10月13日に参列したアントニオ猪木さんの通夜で発想を得ていた。

 「私はプロレスファンで、その場に長州力さんと藤波辰爾さんもいらっしゃって。お二人の数多くの名勝負のエピソードのように出会いから紡いでいこうと思い、ストーリーが完成した。党首討論や退任後の皇居でのエピソードなどを踏まえて安倍さん像を描きました」

 約25分の演説後、昭恵夫人と3分間言葉を交わす事ができ、感謝の言葉をもらったという。

 「『野田先生にお願いして良かった。主人もとても喜んでいると思います』と言われた時に、ようやく肩の荷が下りました。1か月半たった今でも、街頭に立っていると『ありがとうございました』、『感動しました』と声をかけてくださるかたが多く、私もびっくりしています」

https://hochi.news/articles/20221219-OHT1T51129.html?page=1