鶏卵価格が高騰している。JAおきなわが発表する市況の1キロ当たりの卸売価格(Mサイズ)は20日時点で330円で、前年同日より110円高くなっている。飼料などの生産コストの上昇で各農家が飼養羽数を減らしている中、鳥インフルエンザの全国的な流行が重なり鶏の数がさらに減少し、卵の流通量が減っているためだ。県内スーパーでは販売価格を上げる動きもあり、鶏卵卸業者は「県内で鳥インフルが広がれば、価格はさらに高騰するだろう」と予想している。(政経部・又吉朝香、國吉匠)

 JAおきなわの市況によると、昨年は11月1日から12月20日の間は220~230円と10円しか変動はなかったが、今年は11月頃から全国で鳥インフルエンザが拡大し同じ期間で45円高くなった。

 前田鶏卵の前田睦己社長は「今年は全国で600万羽以上の採卵鶏が殺処分されており、卵が足りていない状況だ。取引先のスーパーに欠品する可能性もあると伝えている」と現状を話した。

 スーパーでの販売価格も上がっている。

 県産卵を9割以上扱っているフレッシュプラザユニオンでは、週3日は1パック118円の特売価格で販売していたが、その内1日は138円に値上げすることにした。担当者は「ユニオンで販売する卵は9割以上が県産品。もし、県内で鳥インフルエンザが広がれば、大きな痛手だ」と先行きを不安視した。

 イオン琉球では11月以降、数円単位で値上げしている。担当者は「鳥インフルだけの影響だけでなく、飼料価格の高騰など複合的な要因で徐々に取引価格が上がっている」と話した。

 卵の価格は上がっても、生産コストが高騰し農家の経営状況は依然厳しい状況が続いている。

 県養鶏農業協同組合の諸見里元組合長は、飼料価格が過去10年間の平年よりも1・8倍上がっている状況を説明。「鶏卵生産の約7割は飼料代のため、卵の値段が上がっても手元に残るお金は減っている」と吐露した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/51abd0ef7152d448cf0bf73777415ac639dd7bfe