名古屋大学は22日、国内外から優秀な若手研究者を招くために給与上限を事実上撤廃すると発表した。
工学、理学といった分野を想定し、論文引用回数などで優れた実績を持つ45歳未満の研究者を対象にする。

名大が定める約1200万円の年間給与(教授)の上限を適用せず、2千万〜3千万円程度の給与を払うと想定している。
海外大学との研究者の獲得競争に打ち勝つため、高い給与を用意する。

対象者については既存の上限を適用せず、約1千万円の名大教授の給与水準を大きく上回る給与を支払う。
実験機器の購入などで数千万円かかる研究室の立ち上げ費用も支援する。

自己財源でまかなう方針だ。2022年度内に1人目の研究者決定を目指す。年間2〜3人ほどを指名し、10人ほどの体制にしたいという。
付与期間は6年間で、更新も可能だ。

「世界と日本の研究者の給与格差が大きくなっている。待遇が原因で海外研究者の招へいに失敗することも多い」。
22日に名大で記者会見した杉山直学長は危機感をあらわにした。為替相場の円安傾向もあり、特に海外大学から優秀な研究者を招くことが難しくなっている。

「海外の大学でもらっている高額の給与を保証しなければいけない」

杉山氏は「これからノーベル賞を受賞するような勢いのある研究者を招きたい」と話す。
想定するのは工学や物理学、生命科学などの研究者で「名大が強みを持ち、研究者が名大で研究したいと思う分野が対象になる」という。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFD2280D0S2A221C2000000/